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補償

【公共補償】防火水槽施設

概要

公共事業の施行に伴って、市町村が所有する防火水槽施設がする。

 

この施設は、対象市町村内のある地区の火災に備え、防火活動のためのコンクリート造水槽である。

 

その敷地は地区住民の個人所有の敷地であり、無償で借地している。市町村が管理する水利台帳によれば、貯水量30m³であり、防火水槽への給水は直近の消火栓から消火用ホースにより給水し、常時満水状態を保持している。

 

防火水槽は、地区住民の火災発生時に備え不可欠な施設であり、短期間といえども貯水を中断する事は出来ない施設である。

補償方法

防火水槽の所有は市町村であり、地区の防火活動に必要な施設であり、「公共施設」である事から、公共補償基準要網の対象とすべき施設である。(以下公共補償基準)対象施設について公共補償基準を適用する事は、その施設が「公共補償基準2条」の「公共施設等」に該当するものであるか否かにより判断出来る。「公共施設等」については、基準第3条に規定されており、公共施設等に該当するものには2つの形態がある。1つは公共施設であり、もう1つは村落共同体その他の地縁的性格を有するものか設置し、または管理する施設で公共施設に類するものである。

 

公共補償基準における公共施設とは公共事業の用に供する施設を言い、公共事業とは土地収用法その他の法律により土地等を収用し、または使用する事が出来る事業を言う。すなわち、土地収用法第3条、各号に列記されている事業および土地を収用等出来る事業に供されている施設であるか否かという事になる。

 

そこで、土地収用法第3条32項に「国又は地方公共団体が設置する公園、緑地、広場、運動場、墓地、市場、その他公共の用に供する施設」という規定がある。

 

もう1つは、村落共同体等が設置管理する施設で公共施設に類するものに該当するか否かである。村落共同体その他の地縁的性格を有するものとは、農業協同組合、水利組合、森林組合、水害予防組合、農業漁業協同組合、部落および町内会等を指し、公共施設に類するものとは公共施設に該当はしないが公共施設に類する公共的機能を有しているものを言う。具体的には有線放送等の放送設備、用排水路、部落有溜池、揚水機場、水防又は消防の用に供されている施設、公民館、簡易水道、防犯灯、道路等の施設を言う。(基準第2条第2項)

 

以上により、対象施設防火水槽は市町村が設置し、地域の火災防止施設として機能している事からすれば、防火水槽の補償については公共補償基準を適用するものとする。

公共補償基準の適用

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移転先および規模の検討

移転先

 

対象の防火水槽は、対象地区の火災に備え、消防に必要な施設として機能している。したがって、対象の防火水槽の建設場所の移転先は既存施設に同様、対象地区の消火活動を維持可能な位置に設置する必要がある。

 

防火水槽の設置場所については、消火活動が十分に確保されるよう「消防水利の基準」第4条に規定されている。既存の施設は、地区内住民個人の敷地を無償で借地し建設されているが、地区としては自らの財産を火災から守るべき施設である事から、市町村当局は市町村が建設を計画している防火水槽について建設場所は特定されていないものの、住民の合意が得られ、上記条件を満足する設置場所を無償で確保する事は可能としている。

 

そのため、防火水槽の補償についてその移転先は確保されているものとし、基準第7条に基づく施設移転確保のための土地代は補償対象としないものとする。

移転先確保:無償で近隣に確保出来る

規模

対象施設の建設年は不明ではあるが、戦後昭和20年代に建設されたとされており、その規模は貯水量30m³である。

 

昭和39年12月10日消防庁告示第7号「消防水利の基準」によれば、第3条消防水利は常時貯水量40m³以上が必要とされている。そのため、対象市町村の新たな防火水槽設置の計画として、

 

名称:40m³級防火水槽

種類:地下式

構造:鉄筋コンクリート造二次製品

 

を基準(総務省消防庁告示「消防水利の基準」)と規格((財)日本消防設備安全センターの認定二次製品)に基づき、地区の消火活動に支障をきたさない設備として設計している。

公共補償基準第8条(建設費)によれば、既存公共施設の機能回復を代替の公共施設を建設する場合、当該公共施設を建設するために必要な費用から既存公共施設の機能廃止の時までの財産価値の減耗分を控除した額を補償対象としている。

 

そして、代替の公共施設の建設については、同基準第12条(法令の規定等に基づく機能回復の特例)として、既存公共施設に代替する公共施設を建設するにあたり、法令の規定により当該公共施設を一定の構造にする義務が課されている場合は、その必要の限度において代替の公共施設の構造を基準に対応したものとした建設費を補償対象とする事が出来るとある。

 

また、既存公共施設の減耗控除については、公共補償とはいえ、被補償者に財産上の利益を取得させる事を目的としたものではない事から、既存施設の財産価値の減耗分を建設に要する費用から控除するものとする。

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