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ミニコミ 2021.02.24

第129号(2021年冬号)『時の流れと時の節目』ほか

時の流れと時の節目

「1月は往ぬる。

2月は逃げる。

3月は去る。」

 

この時期は、毎年ながら月日の経つ早さを実感する季節でもあります。

コロナ禍にある現在、営業活動等の外出は極力控え、テレワークの活用やWEB会議の利用等、かなり行動を制約された日々を余儀なくされています。

考えることと言えば、昨日の感染者は何人?今日は昨日に比べて感染者は増えたのか減ったのか?そんな心配ばかりが頭から離れない毎日です。

これまでとは全く異なる年明けとなった令和3年ですが、過ぎてしまえば例年と同じ様にやはり時の経過は早いものです。

昨年から今年にかけて、我々の業界でもコロナ感染は最大の関心事でした。同業者のみならず自社社員の感染者発生は最大の事件、関心事です。

思い起こせば10年前、東日本大震災が発生し、東北地方を中心に大被害をもたらしました。

更に20年前には、脱ダム宣言に始まって、公共事業の無駄使いと社会悪のレッテルが張られ、公共事業の発注減に伴って建設関連業者は大変な打撃を受けました。

更に30年前には、湾岸戦争の勃発。日本はといえば全国がバブル景気で浮かれていた時代でした。

振り返ってみれば、良くも悪くも、ほぼ10年を節目として、事件等を契機に大きな変化を余儀なくされてきたように思います。

そして、その節目節目でどのように対処したか対処できたかによって、その先10年の業績に反映されてきたのではと感じています。

とするならば、今年は新型コロナ感染による節目でもあり、この先10年は公共事業が大きく変化し、この変化の対応如何が非常に重要な時だと認識しています。

今、コロナ感染で苦しんでいるこの時は、この先10年に影響する非常に重要な時期でもあります。

今日のコロナ感染者は何人?明日は?等、後ろ向きな対応ではなく、このコロナ禍の時代、節目の時期にあって、この先必要な仕事とは?この先何ができるか?等。前を向いて日々を迎える様、自らに言い聞かせています。

地盤変動調査の費用負担額算定における消費税調査

費用負担額算定の消費税の計上についてですが、補償対象となる所有者が事業者である場合もあります。

これまでに地盤変動の費用負担額算定の中で消費税調査を行ったことは経験がありませんが、対象者が事業者である場合には消費税の判定が必要であることに注意する必要があります。

事業者が休業に至る補修工事においては営業補償が必要となることから、営業補償調査に合わせて消費税調査を行って判定しています。

しかし、小規模の補修工事において消費税の確定申告書等の資料の請求を行ってもなかなか理解と資料の提供が得られないと思われ、消費税調査まで行うものであるのかどうか判断がつきませんでした。

仕様書の記述が新旧で異なっており、旧版では「費用負担額の算定にあたっては請負者の指示いかんによるが、建物等の所有者が消費税の最終負担者となる場合には、消費税及び地方消費税を併せ算定することとなる」となっています。この記述では請負者の指示がない限り消費税調査を行う必要がないと読み取れてしまいます。

しかし、平成27年3月31日の「地盤変動影響調査算定要領の解説について」の記述からは新たに「費用負担額の算定にあたって、建物等の所有者が消費税の最終負担者となる場合には、消費税及び地方消費税を算定することとなる」と明確に記述されました。「請負者の指示いかんによる」の部分が外れていることにより明確に消費税の判断は必要項目となっています。

実際の運用では、住宅がほとんどで費用負担額の算定について消費税調査を行った例は経験がなく、事業損失の調査数量に消費税調査が計上されていたこともありません。しかし、仕様書にならい消費税調査を行うのであれば、数量変更により計上していただく必要があります。補償対象者が事業者である場合には、消費税を計上せずに積算を行い、起業者に注意事項として消費税調査による判定が必要である旨を報告することが現実の対応として適切でないかと考えます。

また、その他の経費についても従来の「工事費のおおむね10%を限度として、損害の程度に応じて適宜定める」との記述から「建物等の原状回復に伴う仮住居選定に要する費用、就業できない事により生ずる損失の補償額等、必要となる経費を計上するものとする」となっており、通常の物件補償に準じて休業補償等の移転雑費を計上することが規定されています。

旧版のその他の雑費については記述にあった「特記仕様書、監督職員の指示による」の記述がなくなっていることからすれば、請負者としては現地調査時点には消費税の要否を予め判断しておくべき必要項目となるものです。

今回の消費税の取り扱い、その他の経費の内容などの仕様書の改正から改めて算定要領の解説を読み直し、仕様書に立ち返って確認することが必要と感じました。

立竹木調査

今回は用材林の調査についてお話ししたいと思います。

立竹木調査は、庭木等・用材林・薪炭林・収穫樹・竹林等に区分されます。

調査の内容は、所有者毎に毎木調査により樹種、本数、胸高直径、林齢、人工林・天然生林の別、管理状況等を調査します。

  • 胸高直径は、用材林の地上部1.2mの部分における直径を計測します。
  • 調査地が傾斜地の場合は、斜面の上部(山側)地際から測定します。
  • 胸高点の下方から樹幹が分岐しているものはそれぞれ独立木として調査します。
  • 林齢の調査は、都道府県が整備している森林簿等の写し、または所有者からの聞き取り調査を行います。
  • 毎木調査が困難と認められる場合または標準地調査により毎木調査と同等の精度が得られると認められる場合には、標準地調査法により調査することができます。

 

用材林の調査は測量業務と一緒に発注されることが一般的で、山林の所有者の立会いの下、用地測量を行った後に完成した用地平面図を基に行うことが多いと思います。

調査の手順としては山中の境界杭を探し、所在地毎にテープを張り、また収用線にも色を変えてテープを張り、調査範囲を確定させます。

一般的には山の頂上から裾に向かって、等高線に平行に調査を始め、1本毎にテープを巻き、ナンバーリングをします。次に樹種を確認し、胸高直径を計測し用地平面図に位置を落とし込んで、調査したルート図ができるようにします。2~3人で班を作りこの作業を行っていきます。

効用樹の調査では、杉・桧・松の3種類が対象になるのですが、その他の雑木も名前を付けて調査することになる為、樹種を覚える必要があります。山中で木の葉や幹の特徴から名前を割り出すのは大変です。

調査は一年中あるため、夏の暑い時期や冬の寒い時期でも行わなければなりません。

夏場はマムシに注意が必要であり、蚊にも悩ませられます。また雨が降ってカッパを着て作業をすると蒸れてすごく暑くなり、熱中症になることもあります。秋頃はスズメバチに注意が必要で、どこに巣があるかわからない為、刺されないように気を付けなくてはなりません。

山にも色々あり、手入れを行っている所は歩きやすく調査も楽なのですが、手が入っていない所では下草がすごく、前に進むのにも一苦労することがあります。また、傾斜の急な所や土がもろく、足場の悪い崖地等の調査を行うこともあり、危険を伴うことも多々あります。

山を何度も登り下りし、体力的に辛い作業ではありますが、一日中、会社の部屋の中で作業を行っていることを思うと、たまには仕事とはいえ外に出て自然の中にいるのも気分転換になっていいものです。

福島CM業務について

私は去年の5月から福島県郡山市内の県中建設事務所に赴任し、福島県が施行する河川事業のCM業務に携わっており、福島県での生活も間もなく1年となります。

主な業務は用地・補償のマネジメントで、今までの業者としての立場とは異なり、福島県職員の代行として、他のCM担当者に相談しながら業務を進めています。

現在、福島県は東日本大震災の復興とは別に、台風等による洪水被害も重要な課題として取り上げています。

最近では、令和元年10月の台風19号による大雨により、阿武隈川流域は大規模な氾濫・洪水被害に見舞われました。それ以前にも水害は度々あり、昭和61年に大きな被害がありました。その後、阿武隈川は平成10年から約3年間で800億円以上の予算を組み大改修され、それ以降は犠牲者を伴う河川氾濫が大幅に減少しました。

今は阿武隈川水系の一つである逢瀬川、夏井川水系の右支夏井川での慢性化している浸水被害の早期解消を図るため、業務を進めています。しかし、担当している河川の堤防付近には民家が多く、用地・物件補償の一人当たりの金額も高額となることから、予算の都合上、同一年度で全ての地権者と契約する事は出来ません。

また去年からコロナに振り回され、職員や業者との打合せ・協議、また地権者への訪問も極力避け、可能な限りメールや電話等でやり取りするなど、コロナに感染するリスクを少しでも減らすことも考え、業務を進めています。

福島県は愛知県とは人口密度が違うので、安易に比較は出来ませんが年末年始前の1日当たりの感染者数は数名程度でしたが、今では10~40名ほどになっており、増加傾向にあります。

福島県への出向にあたり、個人的に仕事のほかに観光や郷土料理を堪能するという楽しみもありましたが、それも感染防止のため自粛しなければならないという状況になり、非常に残念で仕方ありません。

しかし、早期の水害解消を目指して、事業課・用地課・CMが一丸となってその目標に向かい、私もその一員として微力ながら役割を果たしたいと思いますので、今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いします。

機械設備調査算定要領の解説について

「国土交通省 土地・建設産業局 総務課 公共用地室」発行の「機械設備調査算定要領の解説」が、令和2年4月付で改定されております。

その中で「算定例」としての掲載ではありますが、機械設備算定にあたってはまず工程表を作成すること、そして一定の場合、機械別の営業休止期間分の営業補償額を加味して復元・再築の工法を決定することが示されました。併せてそのための作業フロー及び工事期間算出のための計算書も例示されており、今回その点について取り上げます。

 

(Ⅰ)作業フロー

同書58頁以降に、「算定例」として機械設備算定にあたっての作業フローが示されました。著作権と文字数の関係上、すべてをそのまま転記できないため、以下に要約的に記載します。

 

(以下、経済比較の方法は左記のとおり。)

A=復元の価格と再築の価格を単純に比較する方法

B=復元の価格に復元のための営業休止日数分の営業補償額を加算した額と、再築の価格に再築のための営業休止日数分の営業補償額を加算した額を比較する方法

C=復元不能であり比較を要しないもの

①現地の条件にあわせて移転工程表を仮作成する(建物・付帯工作物の工程含む)。

②機械設備毎に復元の可否、中古処分の可否を確認する。復元不可のものはCとする。

③移転工程表に工事日数を記入する。

④復元と再築で必要となる営業休止日数に通常差が生じない機械設備はAの方法で費用比較する。

⑤営業休止期間に影響するフロート(工期の余裕)を工程表から確認し、余裕がないもの(クリティカルパス)をBの方法で、そうでないものはAの方法で費用比較する。

⑥決定された移転工法に従い移転工程表を修正する。クリティカルパスが変更になった場合、再度⑤からやり直す。

 

(Ⅱ)工事期間計算書

上記③のため、工事期間計算書が例示されました。この計算書では、標準書記載の様式第6「機械設備据付工数等計算書」の結果として出た据付・撤去の工数に、運搬日数と作業のための人員数を加味して据付日数及び撤去日数を機械別に算出します。なお、様式第6は据付工数・撤去工数を算出する表であって、機械区分と機械重量が主な変数です。

この工事期間計算書で用いられている計算式は、

  • 据付日数 (据付工数÷構成人員数)+(運搬日数÷2)
  • 撤去日数 (撤去工数÷構成人員数)+(運搬日数÷2)

 

勿論、計算式によらず、見積又はメーカ聴取日数とすることもできます。

この結果の据付・撤去日数を、いくつかの作業グループに分け、グループ別に合計した作業日数を工程表に書き込む格好です。

 

(Ⅲ)おわりに

今回の改定で示された算定例で、上記の通り、一定の作業フローに従って、機械設備の工程表を作成し、機械別に移転工法を決定することになりました。一見面倒ですが、ここできちんと作業工程を固めておけば、例えば営業補償の休業日数の決定根拠など、別の部分で使えることになるので、補償金算定の作業全体としてみれば、やりやすくなるように考えます。

消費税等相当額の補償について

消費税等相当額の補償は、移転対象が課税売上に対応しない資産に該当する場合には補償して、課税売上に対応するものについては不要となります。物件調査の結果、非課税売上に寄与する資産と課税売上に寄与する資産の両方が移転対象となった場合には、消費税相当額を補償する物件と消費税が不要という物件が併存するというケースが起こります。例えば、課税事業者が所有する工場と集合住宅が移転対象となった場合には、集合住宅の移転補償金には消費税等相当額を加算することになります。

ところで、集合住宅の賃料や共益費の課税区分は非課税だと理解していることと思いますが、家賃とは別の名目で家主が収受する金銭について、課税となる場合があることを御存じでしょうか。国税庁のホームページに【集合住宅の家賃、共益費、管理料等の課税・非課税の判定】として掲載されている内容を紹介します。

もともと、居住用としての従属性が認められる倉庫や家具などの施設又は動産は、全体を家賃として収受しているので非課税として取り扱われます。また、全住宅の貸付けについて付属する場合や住人のみの利用が前提となっている場合など、住宅に対する従属性が強固な場合も、非課税とされています。

このため家賃や共益費は一般に非課税と区分されるわけですが、家賃とは別建てで請求される各種料金で共益費に該当するもの以外は課税対象と扱われます。例えば、駐車場利用料、プール利用料、家具エアコン等使用料、倉庫使用料、電気・ガス・水道使用料、ハウスキーピング料などは課税対象となります。

また、家賃又は共益費として収受していても、住宅の貸付けとは別に貸付けの対象となっていると認められる施設や動産部分及びサービス部分については課税対象となります。例えば、入居者の選択によって賃借する駐車場、住人以外利用可のプールの利用料、入居者の選択で設置している家具・電気製品等の使用料、入居者の選択により利用する倉庫、入居者の選択によるハウスキーピング料なども課税対象です。

このことから、集合住宅に付属する倉庫が移転対象となった場合には、収受の方法や請求の名目によって、倉庫が課税仕入れ資産となるか非課税仕入れ資産となるかの区分が異なるため、賃借契約の内容を知らないと消費税等相当額の補償の要否が判定出来ないことになります。

冒頭の話に戻ります。通損補償の中に移転先選定補償料の項目がありますが、工場と集合住宅が移転となった場合には、移転先選定補償料の課税対象額を、課税分(工場分)と非課税分(集合住宅分)で分けて計算することが考えられます。この場合の配分はどのように考えたらよいでしょうか。補償費の比率と見なすことで良いでしょうか。課税資産と非課税資産が併存する場合の消費税等相当額の補償費算定例を解説した本が欲しいです。そして、できればもっと簡便な算定方法があると助かります。

今は、こうしたケースに遭遇しないことを願う限りです。

編集後記

猛威を振るっている新型コロナウイルスは、なかなか沈静化する気配が見えてきません。感染予防の対策としてワクチンの接種の準備は着々と進んできています。このワクチンの是非はいろいろ問われていますが、治療薬等が確立されていない現在においては、一番有効な感染防止対策ではないでしょうか。徐々に感染が身近に忍び寄って来ている中、これからがこの業界の繁忙期になりますので、感染防止に努めこの時期を乗り切りましょう。

当社では、手洗い消毒、体温測定等による体調管理、業務中のマスク着用、3密の回避の徹底及びテレワークの導入等により、感染拡大防止を図っております。感染によって業務に支障をきたさないよう、「感染しない、させない」を合言葉に最大限努力をしていきますので、今後ともよろしくお願いいたします。

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