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ミニコミ 2021.11.12

第132号(2021年秋号)『新型コロナ感染終息の願い』ほか

新型コロナ感染終息の願い

令和3年10月20日時点、愛知26人、岐阜5人、三重4人、静岡7人、そして東京41人、大阪73人で令和3年では最も少ないコロナ新規陽性者数です。

新型コロナ感染が人々に対し、様々な制限を強いるようになって2年が経過しようとしています。この令和2~3年の間、毎日が新規陽性者数の増減に一喜一憂し、外出にはマスクで顔を覆い、他人との会話や会食は極力避けてきました。これまでは、日々ウィルス感染に怯え、内にこもり只々消極的な時間をなんとなく無駄に過ごしてきたように実感しています。

守りの姿勢、消極的な時間を過ごしたとは言いながら、仕事ではテレワークやWEB会議の試行によって、自宅等での業務の実施、打合せや会議を実施することが出来ることを立証することにもなりました。

その為、この先将来コロナ感染が収まり、かつての時代に戻ったとしても、自宅等でのテレワークやWEBの活用による会議等、働き方改革にまで発展することになるものと思います。

コロナ感染問題発生以前には、私自身も毎朝就業前の一時に雑談をしながらコーヒーを飲み、その後、作業に着手するのが習慣となっていました。今思えば結構無駄な時間を費やしていたのかもしれません。しかし、コロナ感染が始まった以降はコーヒーどころか、雑談をすることもなく直ぐに作業に着手することになっています。

業務着手前のコーヒーや雑談の是非は兎も角も、毎朝顔を合わせ無事健康と仲間意識を確認し、案外居心地良い環境を無意識に共有する場であったようにも思います。

職場の環境、仲間との無防備な係わりは車に例えて「ハンドルのあそび」のような存在と言えるのではないかと思います。只々、真っ直ぐに早く突っ走る目的のレーシングカーであれば「ハンドルのあそび」は少なくてすみます。快適で楽しみながら安全に余裕をもって走る普通の車であれば「ハンドルのあそび」は必要です。

突っ走ることが目的であれば、テレワークの徹底、WEB会議の徹底ということになるのかもしれませんが、居心地が良くゆったりとした環境での業務の遂行、信頼関係ある組織の構築をという点からは、これ等テレワーク等の手法には限界があるようにも思えてなりません。

生きた人間である以上、体温を感じる距離での会話、同じ鍋からの食事、同じ杯での一献も必要な気もします。

我々、用地補償業務に従事する者は対人関係、特に地権者との係わりが中心的な業務であり、人間関係なくしては成り立ちません。

そんな観点からも、以前と全く同じにはならないとは思いますが、一日も早く新型コロナ感染が終息し、安心して仕事が出来る日が戻って来ることを、そして以前のように朝の就業前に仲間とコーヒーを飲みながら雑談できる平和な日々が再び訪れることを願っています。

屋内配管の1栓

建物を算定する際は仕様書や標準書を基準として算定するのは基本ですが、算定の対象となる建物には同じものは殆どなく、判断に迷う項目も多々出てきます。その中で今回は給水・排水の屋内配管1栓について記述したいと思います。

屋内給水配管の1栓は標準書作成要領の留意事項に記載のとおり、木造・非木造とも建物内に敷設されている水栓の数です。水栓のみではなく、水洗便器などの機器そのものに含めた数も1栓とし、混合水栓の場合は配管の数に関わらず栓が1個であれば1栓となります。そのため小型湯沸器も忘れないよう注意が必要です。

また、ユニットバスも平成28年度用地実務者講習会資料のQ&Aより、シャワー付水栓を基本として単価が構成されたものであるとの事から、浴槽部に横水栓、ホーム水栓、自在水栓、混合水栓などがある場合には水栓の数を追加する必要があります。

屋内排水配管の1栓も標準書作成要領の留意事項の記載より、木造・非木造とも水栓のある場所には排水管が設置されているため、建物内に敷設されている屋内給水配管で計上した数とすると記載されています。

しかし、Q&Aにある小型給湯器やユニットバスの栓数の記述を考えると基本は給水・排水の栓数は同数であるが、実情を考えると同数でなくてもよいと判断できそうです。

また、床にある排水トラップ、洗濯機パン、トラップ付排水ユニットを屋内排水配管1栓と計上するかどうかについて、水栓1箇所当たりの配管の種類及び長さの表を参照すると1カウントするには長さが長いのではと考える事ができます。

その場合は建物内の水栓・設備から屋外排水配管に向かう1つの経路の分岐の栓として屋内排水配管1栓とはしないと考えます。

ただ、排水トラップや排水金具などの単価構成は建設物価の材料単価に労務費を加えたものであり、管の単価は含まれていません。

屋内給水配管1栓は給水管が接続されているものを1栓とカウントするならば、屋内排水も1栓として計上できるのではないかとも考えられます。

いずれにしても起業者の方との綿密な打合せと内容を確認しながら算定することは必須ですが、自分の知識と理解力を蓄えてより実情に即した算定を心掛けたいと思っています。

土壌汚染に関する土地利用履歴等調査要領について

【土壌汚染状況調査のきっかけ】

土壌汚染対策法(以下「法」と称す。)では、有害物質使用特定施設の使用の廃止の時(法3条)、3千㎡以上または有害物質使用特定施設に係る工場等の敷地では900㎡以上の土地形質変更の届出の時(法4条)、健康被害が生ずるおそれがある土地(法5条)、の3つの調査契機が規定されている。この調査で土壌汚染が見つかれば、「土壌改良工事が必要となる」「事業費が増大する」「工期が遅れる」などと、土地の取引や利用に影響を及ぼすことになる。

 

【用地業務における調査の必要性】

用地業務では、対象地における有害物質使用特定施設を廃止する場合や、一定規模の工事を施工する場合に土壌汚染状況調査が避けられない。また土壌汚染は土地評価の減価要因となるなど、土壌汚染の有無が、用地事務の全般に影響するリスクとなっている。そこで、対象となる土地に対する土壌汚染状況調査(任意調査)の実施の要否を判定するために、土壌汚染に関する土地利用履歴等調査を実施することとし、調査要領を定めている。

 

【土壌汚染に関する土地利用履歴等調査要領の概要】

土地利用履歴等調査は第一段階調査と第二段階調査に区分しており、第一段階では法令関係資料調査・現況利用調査・行政機関聞き取り調査を行い、第二段階では登記履歴調査・住宅地図等調査・地形図等調査・地元精通者等への聞き取り調査を行う。この調査結果を総合的に判断し、対象地について土壌汚染状況調査(任意調査)の実施の要否を判定することになる。

土壌汚染状況調査は、起業者の負担により、環境大臣等に指定された指定調査機関に依頼して、法に規定された方法により行うもので、試料採取等対象物質の選定や汚染のおそれの由来に応じた区分、試料採取を行う区画の選定、試料採取等、及び試料採取等の結果の評価を行う。

土壌汚染は、身に覚えがなくても降りかかってくる場合がある。元々自然界に存在する自然由来汚染や、持ち込んだ土壌に汚染が含まれる盛土由来汚染や埋土由来汚染、かつて土地を所有していた人が汚染を残していたケースなどがある。このように、汚染が自己に起因しないケースであっても、有害物質が含まれる汚染土壌による健康被害のリスクに変わりはなく法規制の対象となるため、現況の利用状況だけで汚染の有無の判断ができないことに十分留意する必要がある。

道路CM業務について

私は令和2年1月から現在に至るまで、道路CM業務に携わっています。令和2年1月から令和3年3月までの約1年間は宮城県石巻市にて宮城県道路事業に係る道路CM業務、令和3年4月からは福島県郡山市にて福島県道路事業に係る道路CM業務に参画しています。今回は私が現在まで関わってきた道路CM業務の中で実施した内容についてお話したいと思います。

宮城県道路事業に係る道路CM業務は、道路事業の推進上の課題点整理・解決、推進方策の検討と工程管理、関係機関協議や地元対応などの支援、施工監理、工事監督支援などを目的に業務発注されました。業務項目は多岐に渡り、大きく①設計段階、②工事発注段階、③施工段階(施工監理)、④施工段階(工事受発注者間調整)、⑤施工段階(常駐マネジメント)に分けられ、その中で私は道路総延長L=7.9㎞を6つの工区に分割した内の延長L=1.1㎞の工区担当者として、主に②工事発注段階と④施工段階(工事受発注者間調整)を実施しました。

②工事発注段階では全体工程の確認、関係機関との交渉、地元関係者との交渉、工事リスク等の検討を、④施工段階(工事受発注者間調整)では全体施工計画の確認、受注者(工事業者)との打合せ・協議、受注者(工事業者)との設計変更協議及び設計図書(変更図面・変更数量計算書・積算)の作成を実施しました。

CM業務に携わり実施すること自体は初めての試みでしたが、岩手県釜石市の復興事業で培った知識や経験により、特に困る事もなく業務を円滑に遂行することができました。その成果もあって私が担当した工区においては、予定通り令和3年3月に無事に供用を開始することができました。令和3年度内全線供用開始に向けて、他の工区については現在も工事中です。無事に全線供用開始した際には現地に足を運びたいと思います。

今年度から携わっている福島県道路事業に係る道路CM業務の業務目的や業務内容は、基本的には昨年度実施した宮城県道路CM業務とほぼ類似しています。私自身が担当している業務項目は昨年度の実施項目に含め③施工段階(施工監理)、⑤施工段階(常駐マネジメント)が新たに追加となり、CM業務内容をより一層深く実施しています。

③施工段階(施工監理)では施工計画書の確認、施工体制の確認、施工中の出来高の確認等を実施し、⑤施工段階(常駐マネジメント)では、材料の検査、工事施工の立会、出来形の確認など現場管理の内容がメインとなっています。

これらは、設計を主としてきた私にとっては初めての事ばかりで、当初はやる事も不明、工事業者からの提出資料の内容があっているかも不明など色々な苦労はありましたが、一人の技術者としては今後に向けて大変良い経験ができていると思います。

また、宮城県の道路事業では主に道路改良工事を担当していましたが、福島県の道路事業では橋梁やトンネルの構造工事を担当しています。私自身、橋梁やトンネルの経験が全然なく、分からないことばかりで苦労は多いですが、実物の完成していく様を直に見る事ができ、こちらも良い経験となっています。

今年度のCM業務では今まで得た知識や経験以上のものを求められ苦労も多いですが、事業が円滑に進めることができるように尽力したいと思います。

夏の雨天の立木調査の装備について

この夏、現場日程の都合で連日、雨の中で山林の立木調査を行うこととなった。事前の天気予報によって雨天続きであることが分かっていたので雨装備を一通り新調し現場調査に臨んだ。

高い防水、透湿性を謳う合羽上下セットと長靴を用意し、これで万全と思い現地に乗り込んだわけだが、完全装備があだとなる結果となってしまい、装備について考えさせられた。合羽、帽子、長靴、手袋と着用していたわけだが、常に動き続けているため、汗をかく。結果、中も外と変わらないくらいのずぶ濡れとなってしまった。洗濯物を乾燥せずに着用したような感じに等しい。

これでは防水装備の意味がない。しかも、暑くてめまいを感じた。体温が発散されないことにより熱中症の症状を発症した感じだ。直ちに休憩を取り、車に積んであった晴天時用の空調服を羽織ることで体温を下げて回復した。空調服の有効性を実感したが、雨天では電気系統の浸水の恐れがある空調服は使用できず、あれこれと試行錯誤するはめになった。合羽は着ても脱いでも濡れるのでいっそ脱いでみたわけだが、それだと冷たい雨が直接体に当たるので今度は逆に冷えて寒くなる。合羽はたとえ防水、透湿性を謳っていても内部が蒸れることは避けられないと感じた。そこで目を付けたのが防風、撥水のヤッケだった。

防水ではなく撥水のペラペラの素材であり、縫い目も防水シールがなく熱を適当に発散してくれて、水も適当にはじく。完全防水ではないためじわじわとしみてくるが、ある程度通気性があるため内部がベタベタになることはない。長時間の使用には限界があるが、少なくともこれが一番快適であると感じた。

あれやこれや試行錯誤の結果、上半身は合羽、下半身はヤッケのスタイルに落ち着いた。そして上半身の合羽はぴっちりと着こまずに緩くはだけておくことで体温を発散するようにしておくのが丁度良いと分かった。

そして、帽子は全周につばがある撥水性のあるものにすることで首元から進入する雨を防ぐ。足元はひざ下まである長靴を着用することにより下草で濡れることを防ぐと共に、切り株などで脛を打つことを防ぐことができる。ただ、歩きにくいので中敷きを入れてサイズ感を調節しておく必要がある。

防虫剤は汗や雨ですぐに落ちてしまうので合羽の中の作業着にしみこませるように吹いておくと良い。そのため使用する防虫剤はパウダータイプのものより液体のミストタイプのものが良かった。

これが今回の雨中の立木調査の経験から得られた雨装備の最適解であった。

「対岸の火事」と思わず・・・

一昨年まで福島県に常駐し、(一社)日本補償コンサルタント復興支援協会(以下、「復興支援協会」という)の用地総合支援業務に従事しました。

東京電力福島第一原子力発電所の事故により放出した放射性物質を取り除く除染により発生した土壌等を一定期間保管するための中間貯蔵施設設置(約1.6千ha)の事業用地を取得するためです。

用地総合支援業務とは、帰還困難区域内の事業用地内にある補償対象物件を復興支援協会会員が調査、算定した内容を「中間貯蔵施設整備事業における損失補償算定実施要領」等の関係基準に基づき審査することを目的とした業務でした。

但し、一般的な物件の移転補償の内容とは異なり、帰還困難区域であることから用地外への移転に際し除染を要とすることや放射線量が高く作業時間が限られることなどから原則、再築費による補償方法です。

対象には建物、附帯工作物、機械工作物、立竹木、墳墓などがありますが、そのうち立竹木と墳墓の補償金額は高額となります。

立竹木の補償は、[樹価(市場価格+植栽費)×管理程度補正率×1.2(諸経費)]×前価率の算定式により算出するのですが、移植費による補償ではなく樹価が単価の大半を占める補償であるためです。

次に墳墓は、推定再建築費×避難指示解除時点までの経過年数による再築補償率×契約締結時点から避難指示解除時点までの前価率による算定式により算出します。墳墓の場合、半永久的を目的として建立されるため、墓石(加工石)の単価が高額であることや石材であるため竿石、上台、芝石などの石塔の耐用年数は100年、玉垣、香炉、花立などの耐用年数は150年と設定すると、再築補償率の減少幅が極端に少なく100%近い率となるため一般的な墳墓で約500~1千万円の補償額となりました。

私自身、墳墓については以前、全国的にも稀な再築による補償算定を行った経験があったため業務に生かすことが出来ました。

この事業における最大の障害は放射能という目に見えない壁のため、一般的な補償基準をベースに事業に対応した補償基準等を様々設けています。

また、用地がかなり広範囲のため支障する物件数も相当数あり、審査に多い時には全国から30名近い人員を集めて審査に従事することもありました。

この原発事故における中間貯蔵施設整備事業に伴う特殊な補償は福島に限ったことでないと思います。中部には静岡に浜岡原発、福井県には4原発13基と研究炉2基の計15基があります。

今から原発事故に限らず、激甚災害や万が一の有事の場合に備えた対策を国、県、市町村、民間企業間が連携し策定しておく必要があると考えます。

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