砂防(基礎知識)
砂防事業とは、次に挙げる事業を行い、治水上の安全を図る事を目的としています。
- 水源山地の荒廃を防止し、急流荒廃河川から流される大量の土砂を調節する
- 土石流や崖崩れによる土砂災害を防止する
- 本川河道の治水施設や多目的ダム等の貯水池を保全する
砂防ダム
上流からの土砂を一時的にせき止めたり、土石流などを受け止めて溜めた土砂を少しずつ安全に流します。ダムが一杯になった後も洪水ごとにあふれた土砂は少しずつ下流に送り出されるため、急激な土砂の流出が抑えられます。通常時に土砂を流し、洪水時には土石流や流木を食い止めるものを透過型砂防ダムといいます。
不透過型砂防ダム
透過型砂防ダム
(国土交通省北陸地方整備局 湯沢砂防HPより
山腹工
暴風雨や地震等により崩壊してしまった山の斜面に木を植えたり土留めを行うことにより、荒れた山から崩れ落ちる土砂の量を少なくし、河川に流れ出るのを未然に防ぎます。
山腹工(神奈川県HPより)
崖崩れ対策
崖崩れとは、雨や地震などの影響により土の抵抗が弱まり急激に斜面が崩れ落ちる現象の事をいいます。この崖崩れの災害から住居や道路を守るため、法枠工やコンクリートの壁など擁壁工を造り土砂の崩壊や落石を受け止めます。最近では、環境への影響を考慮し、対策工を行った後に法面に緑化対策を行う事が多くなっています。
崖崩れ対策(和歌山県HPより)
地すべり対策
山の土がゆるかったり、水の道等があって地すべりが起こりそうな所に対して、その動きを抑えて住居等を守る対策がとられます。対策工法としては、抑制工と抑止工に分けられます。
抑制工
- 地表水排除工(水路工、浸透防止工)
- 地下水排除工(横ボーリング工、集水井工、排水トンネル工)
- 排土工
- 押え盛土工など
抑止工
- 杭工
- アンカー工など
護岸工
速い川の流れによって川岸が削られないように保護をします。以前は、コンクリート面が平面的で無機質なものが多くありました。最近では、現地で発生する石等を使い、生態系や景観に配慮したものが主流となっています。
護岸工(旧型)
護岸工(新型)
床固工
床固工は、急な河床勾配を緩やかにして、侵食作用を軽減し、侵食による新たな土砂の流出を抑えます。形や作用は、砂防ダムと良く似ていますが、床固工の落差は、5m以下がほとんどです。