【解説】不整形な土地の価値について
不整形な土地は、正方形や長方形の土地に比べ、特に当該土地が宅地である場合において、建物等の建築を前提とした土地の使用方法が制約される事から、一般にその価値は低下していると考えられます。問題は、その価値の低下(減価)の割合をどのように判断するかです。減価の程度を査定するにあたって留意すべき事柄は、宅地は建物等の敷地に供される土地ですから、不整形な宅地の減価は、建物等との関連で生じるものであり、単にその平面的な形状のみをとらえて判断する事は出来ないという事です。
例えば、35坪程度の木造2階建住宅の敷地としての使用を一般的な土地利用形態としている住宅地において、評価の対象となる不整形な宅地に、これと同規模かつ同程度の設計の建物を建築するのに別段の支障がなければ、この段階で整形な土地との価値差は生じていません。しかし整形な土地に比べて、
・駐車余地が不足する
・庭などのスペースが有効に確保出来ない
といった点で不利が生ずる事が考えられます。
この場合の減価は、建物の敷地に供されている部分以外について、その有効利用が制約される程度という事になります。
これに対して、同じ不整形な土地であっても、同様の設計では35坪程度の住宅を建築する事が不可能な土地の場合、その設計を変更する結果として、
・建物の形状
・間取り
・日照
・採光
等の面において不利となり、居住の快適性が低下する事が考えられます。
この場合の減価は、建物の建築が制約される事に起因するもので、当然ながらその減価の割合は、同規模かつ同程度の設計の建物を建築する上で支障がない土地より大きくなります。また、商業地域においてみられるように、法令上許容される建ぺい率、容積率の限度近くまで建築されている建物が密集する地域においては、形状が不整形であるためにこれらと同規模の建物そのものを建築出来ない場合もあり、この場合の減価はさらに大きく査定される事になります。
不動産は、居住や商業活動等ある一定の用途に供される事によってその効用を発揮するものですから、不整形な土地の価値の把握にあたっても、その不動産が属する用途的地域の一般的な土地の利用形態(標準的使用)を前提として判断する事が重要です。