リニア中央新幹線事業
リニア中央新幹線は、平成39年(2027年)に東京と名古屋を約40分、平成57年(2045年)には名古屋ー大阪間を約27分で結ぶ新たな新幹線です。
リニア中央新幹線の整備により、東海道新幹線の将来の経年劣化や大規模災害に対する抜本的備えとなる二重系化が実現するほか、東京・名古屋・大阪の三大都市圏が1時間圏内となり、日本の人口の約半数が含まれる巨大都市圏が誕生します。移動時間が大幅に短縮されるだけではなく、経済や社会活動の活性化も期待されています。
品川・名古屋間については、平成39年の開業を目指し建設が進められており、品川・名古屋間の開業後は最速40分で結ばれることになります。
リニア中央新幹線と名古屋駅周辺まちづくり構想
【経緯】
昭和48年11月 基本計画の決定
平成23年5月 整備計画の決定・JR東海へ建設指示
平成23年9月 環境影響評価方法書の公告(概略のルート・駅位置公表)
平成25年9月 環境影響評価準備書の公告(ルート・駅位置公表)
平成26年 環境影響評価書の公告・工事着手
【基本方針】
1)国際的・広域的な役割を担う圏域の拠点・顔を目指す。
2)誰にも使い易い国際レベルのターミナル駅を作る。
3)都心における多彩な魅力を持ったまちを作り、つないでいく。
4)リニア開業を見すえ、行政と民間が一丸となって着実に構想を実現する
構想の実現に向けて
1)リニア駅周辺の面的整備
2)わかり易い乗り換え空間の形成
3)名鉄名駅再開発計画
4)高速道路とのアクセス性の向上
5)名駅通りの歩行者空間の拡充、駅へのアクセス性の改善
新日では、1のリニア駅周辺の面的整備のうちの駅部の用地取得等、このリニア中央新幹線建設に向けた名古屋駅部用地補償総合技術業務委託を請け負っています。
全体の約8割がトンネルで、都市部では主に深さ40メートルより深く地権者の同意が原則不要な「大深度地下」を通るリニアでは、そもそも用地買収が必要な地域はそれほど多いわけではありません。しかし、名古屋の新駅では、乗り換え時間を短縮するために地下30mにできます。新駅に近づいて深さが40m未満になると、JR東海は地下を使う「区分地上権」を設定して、登記簿上で約560人にものぼる地権者と交渉を行います。
地権者との交渉は、地下を使用するため土地利用を制限して補償する必要が生じます。
JR東海は用地買収には手厚い態勢を敷き、買収の実務には土地買収になれた名古屋まちづくり公社などのベテラン職員約30人があたります。
51年前に完成した東海道新幹線以来となる大規模な高速鉄道建設は、総額9兆円の巨大事業。名古屋までだけで13年間という工期は決して余裕があるわけではなく、用地買収で一つつまずけば、工事スケジュール全般に影響する恐れもあります。
主な業務内容
名古屋駅部の土地権利者を対象に測量や建物調査のほか、用地取得の価格協議などをおこなっています。
建物調査においては、対象物件が名古屋駅に近接することから、オフィスビルをはじめ多様な商業施設があり、特殊な案件も多数みられました。
用地取得に伴う補償について
■用地補償の手順
①用地説明
②土地や建物等の測量や調査
③測量及び調査結果の確認
④補償金の算定
⑤補償内容及び補償金についての説明
⑥契約締結
⑦土地の登記、建物等の移転及び土地の引渡し
⑧補償の支払い
■補償金の算定について
適正で公平な補償をおこなうために国が定めた基準で算定した補償額を金銭で補償。
■補償の種類
土地、建物、工作物、立竹木、動産移転、移転雑費、営業、借家人など
■国が定めたルール及び指針
『公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱』(S37.6.29閣議決定)
『公共用地の取得に伴う損失補償基準』(S37.10.12用地対策連絡会決定)
■土地の補償
公示価格をはじめ、不動産鑑定士による鑑定評価格を参考に正常な価格を算定する。
■建物の補償
建物を移転する場合は、合理的な移転方法(再築、曳家、改造等)を判断し、その方法によって移転する場合に必要な費用を補償する。
■都市トンネル部の区分地上権設定について
都市トンネル部においては、大深度地下使用認可区間及び道路占用区間以外におけるトンネルの設置範囲において区分地上権を設定する。
また、建物基礎等にシールドトンネルが支障する場合には個別補償を検討する。
工事に伴う補償について
■工事に起因する地盤沈下による建物等への補償
シールド工法を採用するも地盤沈下が発生した場合には、国のルールに則って補償を実施する。
■補償の考え方
工事施工にあたり、地盤沈下が発生し、建物等に損傷した場合には、国のルールに則って、従前の状態に修復、復元することに要する費用を負担する。