トピックス

ミニコミ 2020.02.25

第125号(2020年冬号)

かまいしだより

弊社では東日本大震災の復興業務に従事して以降、釜石市在住の職員を中心に「かまいしだより」として話題提供を継続してきました。今回でこの情報発信は期間にして6年半、26回の連載となりますが、釜石復興事業は今年3月で完成を迎えます。寂しい限りですがこれを機に「かまいしだより」も完にしたいと思います。

震災発生から9年。

そして、弊社が当該復興事業に参加してほぼ7年。振り返ってみると非常に感慨深いものがあります。

当初、市内には瓦礫が集積され、事務所のみならず、住む住宅すら確保できない状況からのスタートでした。当時は、まだ日本でのラグビーWC開催は決まっていませんでした。まして釜石市での開催は釜石市民だけの希望に過ぎませんでした。とは言え、釜石といえば新日鉄を代表にラグビーの街です。復興業務着手当日、担当者全員を前に「夢に過ぎませんが、2019年のラグビーWCが日本で、そしてその試合が釜石で開催され、更にその時点で私自身が生きていることが出来たなら、その試合を是非観戦したい。それが私の夢です」と挨拶したのを鮮明に覚えています。

残念ながら、私の夢であったはずの試合観戦は叶いませんでしたが、釜石担当の何人かは観戦することが出来ました。また加えて釜石鵜住居復興スタジアム建設事業に関しても一部ではありますが係わることが出来ました。震災前は東北ラグビーの街という知識はありましたが釜石へは訪れたこともない無縁の街に過ぎませんでした。

昨年、弊社は創業50周年を迎えることが出来ましたが、この社歴のなかで釜石復興事業の参加は弊社及び社員にとっては大きな財産となったと確信しています。

今では天気予報を見ても釜石の天気が気になります。三陸鉄道のニュースにも気を留めるようになりました。私にとって釜石は第二の故郷です。また弊社にとっても第二の拠点として定着させたいと願っています。「かまいしだより」は一旦完とはしますが、今後も釜石をはじめ、機会或る毎に東北の話題を補償ミニコミとして提供していきたいと思っています。

消費税の取扱いについて

令和元年10月より消費税が10パーセントになりました。商店等の対応について不安視されていた事や消費が落ち込むのではと心配されておりました。しかし、始まってみればそれほどの混乱は感じられなかった様に思います。住宅等の高額な商品の駆け込み購入が有ったくらいでしょうか。さて今回は、そんな消費税等の取扱いについてお話しさせていただきたいと思います。

一般の方が被補償者である場合は消費税を加算する必要があります。これは、例えば住宅が補償対象となった場合に被補償者は、住宅を曳家や再築など施工業者に依頼し施工を行います。そのため、施工業者に消費税を支払わなければなりませんので消費税を加算し補償額とします。そう考えると、全ての被補償者に消費税を加算しなければいけないのではないかと私は思いましたが、用対連標準書には「被補償者が事業者である場合において、第三者から資産の譲渡等を受け、消費税相当額を負担しても、当該消費税相当額が消費税納付額の計算上仕入れ控除の対象となる場合は、実質的な消費者にあたらないこととなり、消費税を考慮する必要がない。」となっています。

正直に言いますと、私が初めて消費税を補償するかを判断するフロー図を使用した時に前記の用対連標準書を理解出来ておらず、ただフロー図で補償対象、対象外となったから従っていました。この事を理解する為には、消費税の仕組みを調べなければいけませんでした。その内容は、まず考慮の対象となる事業者は消費税を年度末に1回、税務署に収めている事。さらに消費者から預かった消費税から自身が材料等を仕入れた時に支払った消費税額を引き、差額を税務署に収めている事を知らなければいけません。

これは、最終消費者が払った額が消費税の全額であり消費税に消費税を掛けないためです。つまり、預かり消費税の金額が高額であれば、補償対象となった事業資産を再築等の為に、施工業者に依頼し消費税を払ったとしても、預かり消費税から仕入れの消費税と再築等の消費税を合わせて引き、差額の消費税を納税する事が出来る訳です。そのため消費税の補償対象外となる事業者は消費税を加算無しでも、損失が出ないため消費税を加算補償しなくてよいとなっている。

そうした中で、フロー図の内容は省きますが、預かり消費税によって補償額に掛かる消費税額に対処することが出来るのかにより、対象外、一部補償、全額補償を判断しています。

庭木の伐採補償に おける伐根を考える

庭木の移転の方法には移植と伐採がある。移植は根っ子ごと掘り起こして、別の場所に植え替える方法であるが、伐採は、今ある木を切って処分し、移転先には新たな木を植える方法である。この伐採補償の内容は、地盤から上の部分を切って運び出すための費用となっており、地中の根を撤去する費用は含まれていない。

通常、建物や工作物の移転においては、残地内にある物件の地中部についても撤去費を補償している。残地を建物や工作物の移転先として認定する場合、収用地と残地とを含めた一体の土地として対象にしていることから、地中に構造物等が残った状態ではその土地の利活用に支障となる可能性があるため、地中部の撤去費も補償対象としているものと考えられる。

庭木については、どのように考えるべきであろうか。

一般的な樹木の根は、2m・3mと地中深くまで到達するものではなくて、むしろ水平方向に広がって根を張るもののようだ。木の成長は、2、3年すると垂直方向の成長から水平方向への成長に変わるらしく、幹回りが数十㎝に成長していれば、木のまわりに広く根を張っている。ある資料では、樹高2.1m、胸高直径2.0㎝の「イチイ」の木の根の形態は、水平方向に直径1mを超えて広がり、垂直方向に50㎝を超えて成長している。また、樹高5.5m、胸高直径7.0㎝の天然の「トドマツ」の木の根の形態は、水平方向に直径2mを超えて広がり、垂直方向に1mを超えて成長しているそうだ。この様に根を張っている庭木の地上部のみを伐採しても、地中には数㎡の範囲に根が残っている。このため残地を移転先としても、基礎工事に支障があり構造物を作れないなど、その場所を物件の移転先として利用できなければ、移転工法と整合しなくなる。また、仮に残地を売却処分しようと思っても、木の根が地中に残ったままでは有効利用の妨げとなるため、土地の評価は下がる。したがって、残地の庭木を伐採補償とする場合には地中の根を撤去する費用を含めて補償する必要があると考える。

さてもう1つ、伐採補償の単価の中に廃材処分費が含まれていない点について考えてみる。

廃材受け入れが必要な場合は、別途計算して加算するという扱いになっているが、そもそも廃材処分を別途加算するという考え方はどうであろうか。移転によって生ずる庭木の廃材は一時に多量に出るものであり、無償で処分できると考えにくく、生木の木くずとして廃棄物処理業者に運び出して有償で引き取ってもらうと考える方が一般的である。したがって、処分費込みの補償単価を標準として、処分に費用が掛からない場合のみ、これを控除するという考え方の方が受け入れ易い。

標準書には樹木の区分ごとに1本当たりの廃材容量が掲載されているので、これに処分単価を乗じることで処分費が算定することができる。廃材の運搬費は、現行の補償単価に含まれているため、この2つを合わせれば、処分費を含んだ伐採補償の単価ができる。

さらに言うと、伐根による地中部分の廃材についても地上部の廃材処分と合わせて、処分費と運搬費を含めた補償単価とすると、とても使い易い補償単価表となると思う。

★かまいしだより№26

釜石市復興整備事業を振り返って

平成23年3月11日に発災した東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)からまもなく9年が過ぎようとしています。

当社が取り組んできた釜石市における復興整備事業も3月末で完了する運びとなりました。かまいしだよりも平成25年11月号より連載を開催し、6年間釜石市の復興の状況を紹介してまいりましたが、事業が終息する今号をもって連載を終わりにさせていただきます。そこで最終回は、当社の釜石市における復興事業への取り組み等を振り返ってみたいと思います。当社は平成24年7月に復興計画策定協力として技術者2名を派遣、平成25年2月には東北支店を釜石市に開設しました。

平成25年8月には釜石市復興事業設計施工等業務として発注されたプロポーザル公募に、(株)熊谷組・(株)小澤組・(株)新日・日鉄鉱コンサルタント(株)4社の共同提案体として応募し、プロポーザル審査の結果、中央ブロック(東部地区・嬉石松原地区)における最優秀提案者に特定されました。

その後、平成25年11月に釜石市と釜石市中央ブロック復興整備事業設計施工等基本協定を締結し、今日まで釜石市の復興事業に取り組んできました。当社が担当した中央ブロック復興整備事業は釜石市の中心市街地2地区を津波復興拠点整備事業(東部地区)、被災市街地復興土地区画整理事業(嬉石松原地区)で整備したものです。

当社は建設工事以外の①用地買収補助業務:新日、②測量調査設計業務:新日・日鉄鉱コンサルタント共同企業体、③工事監理業務:熊谷組・新日共同企業体の3つの業務を担当したわけですが、ここでは②測量調査設計業務と③工事監理業務について特徴的な業務を振り返ってみたいと思います。

今般の津波被災地における調査設計業務の特徴としては、津波シミュレーション計算に基づく設計があり、津波シミュレーション計算で想定される浸水深に応じた土地利用計画及び造成設計を策定し、道路設計や宅地造成計画を実施しました。レベル1津波(数十年~百数十年に一度)で整備される防潮堤などは堤内地への浸水を防止するように設計されており防災機能を有した設計となっていますが、レベル2津波(数百年~千年に一度のその地点で想定される最大規模の津波)は、堤内地への浸水を許容しており逃げることを前提とした設計となっています。

中央ブロックにおいても嵩上げ盛土による宅地造成を行っていますが、レベル2津波で想定される浸水深を50㎝まで許容した設計となっています。この場合、道路・宅地面は50㎝以下の浸水が想定されますが、家屋の基礎を50㎝以上とすることで居住空間を浸水しないようにして、経済的損失を軽減し早期復旧が可能な設計としています。その他にも調査設計業務の特徴として不発弾の磁気探査調査があります。新日本製鉄釜石工場に隣接する中央ブロックは、第二次世界大戦中に艦砲射撃を2度受けているため、ボーリング調査時及び、杭基礎や地盤改良などによる基礎工事を行う際の、事故防止のため不発弾磁気探査調査を実施しました。また、設計施工協力型業務の特徴的な業務として工事監理業務を実施しています。

発注者はもとより輻輳する復興関連の他事業者との調整体制を構築するため、5つの会議体を定期的に開催・運営し進捗状況の把握、課題・問題点の共有と調整を行いました。さらに、提案体内の業務間連携を確立し確実に工事を進捗させるため、測量調査設計業務への指導や建設工事への指導も重要な役割となりました。当社もこのような大規模な自然災害における復興事業への取り組みや、共同企業体としての受注も初めての経験でしたが、釜石の復興に少しでも寄与できたことと、本事業へ参加できたことで多くの経験や絆を得たことは当社の財産になりました。

今後も、釜石で得た経験や絆を活かして頻発する自然災害などの復旧・復興にも取り組んで行きたいと考えています。

最後になりますが、6年間かまいしだよりをお目通しいただきありがとうございました。また、○○だよりでお会いしましょう。

釜石市中央ブロック復興整備事業を振り返って

平成25年12月から始まりました『釜石市中央ブロック復興整備事業』も今年度末をもって終了することとなりました。釜石市の皆様、大変お世話になりました。そしてありがとうございました。私は用地部門の担当者としてこの業務を受注する前から携わり、プロポーザルのヒアリング時に参加者全員で熊谷組が用意してくださった揃いのネクタイを締めてヒアリングに臨み緊張の中、質問に回答したことがつい先日のことの様に思い出されます。事業の始まりは用地の取得となりますので、開始後すぐに用地買収補助業務が発注され、その後物件調査業務が発注されました。

当初は土地勘もなく、言葉も違うことから地権者の皆様や市役所の皆様には不快な思いをさせることも多く、お叱りを受けることもありました。しかし、釜石の人たちは本当に優しく、愛知県から来ていますと言うと東海市に知り合いがいる、東海市に住んだことがある等と話を合わせてくれて非常に助かりました。交渉に仮設住宅にお伺いした際にも、こんな狭い所にと気を遣っていただき、『お茶っこ飲んでけ』と気楽に声をかけて下さいました。魚屋さんに調査にお伺いした際には、生まれて初めて『ホヤ』を頂きました。

また、交渉では釜石市以外にも遠野市、北上市、花巻市、盛岡市、遠方では九戸郡野田村や宮城県気仙沼市の大島にもフェリーに乗りお伺いしました。私は概ね用地買収の目途が立った平成27年の秋に釜石市を離れ福島県に異動となりました。昨年10月に、ラグビーワールドカップの試合観戦(残念ながら中止でした)と釜石祭りへの参加で3年ぶりに釜石市を訪れ、造成工事が概ね完了しきれいに整備された街並みを目にした際には感慨深いものがありました。また、祭りの際には『新日さんだよね』と声までかけていただき、当時は色々な事がありましたが、この業務に携わることが出来て本当に良かったと改めて思いました。

当時一緒になって業務に当たった沖縄市、北九州市、大阪市、東海市等の応援職員の皆様と、いつかまたどこかで一緒にお仕事できればと思います。いくら人間が知恵を出し整備しても自然の力には決して勝つことはできません。いずれまた津波は必ずやってくるでしょう。三陸鉄道鵜住居駅にある『釜石祈りのパーク』に設置されている釜石市防災市民憲章『命を守る』に書かれている、『備える』、『逃げる』、『戻らない』、『語り継ぐ』をぜひ実践してください。これからも微力ながら釜石市を応援していきます。よろしくお願い致します。

復興整備事業の竣工を迎えて

東北地方を中心に甚大な被害をもたらした東日本大震災から8年以上が経過し、釜石市街の姿は確実に変化を遂げており、目に見える形で復興の外観が整いつつあります。私は平成26年4月から釜石市中央ブロック復興整備事業の測量業務の担当者として従事してまいりました。おかげさまでこの春、ようやく竣工を迎えられる見込みです。この「かまいしだより」も、最終報となりますので、事業を通して重要だと感じたことについて紹介します。

【1.コミュニケーションの重要性】

着任時は震災発生から3年が経過した時期であったため、震災直後の混乱時に策定された計画や事業間の矛盾が徐々に顕在化し、それら課題の対応や調整に時間を要しました。被災地の復興をより早く実現するためには、様々な業務を平行して進めることが求められます。このため事業全体をとおして重要となったのが、事業の課題や障害を事前に想定し、各業務担当者間による調整を行うことで課題を解決し、復興事業の円滑な推進を図ることでした。中央ブロック提案体では、市担当者、管理CMR、各責任者(用地交渉、地質調査、測量、設計、補償、工事)による課題調整会議や、提案体内で行う提案体会議をとおしてコミュニケーションを図り、情報共有することで事業の円滑化に努めてまいりました。こうした取り組みは通常業務ではあまり行われないので非常に貴重な経験となりました。

【2.地籍調査の貢献】

復興事業を行うためには事業区域内の土地毎の所有者、面積、境界の位置のデータが必要不可欠です。中央ブロックの事業区域は、地籍調査が実施済であり、土地毎の必要データが揃っていました。そして地籍調査のデータが存在したことが、復興事業の大幅な期間短縮に貢献しました。

当該区域は39haですので、その作業期間を換算すると、少なくとも1年の期間短縮に繋がったと考えられます。震災のために不自由な暮らしを強いられている方々のことを想いますと、この1年の差は非常に大きいと感じました。

地震、水害などの自然災害は何時何処で起きるか想像もつきませんので、その備えとして地籍調査の早期実施は緊急の課題だと言えます。実際に地籍調査のデータを活用するためは、転居された方や亡くなられた方を対象とした権利者(相続者)追跡調査や、地殻変動により移動した境界座標の補正等、運用面での工夫は必要となります。そうした経験も貴重なノウハウとして今後の活動に活かしていきたいと考えています。

【3.最後に】

道路や、防潮堤などの完成により目に見える形の復興は整いつつありますが、それが本当の復興ではなく、震災の被害にあわれた方々が復興したと感じられた時、初めて復興を果たしたと言えると思います。私たちにできることは僅かなことではございますが、必要とされる限り少しでも釜石市のお役に立てればと考えています。

今後も皆様のご期待に沿えるよう精進してまいりますので、引き続き変わらぬご愛顧を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

編集後記

名古屋では2月10日に1891年気象庁の統計が始まって以来最も遅い初雪を観測しました。

このような暖冬傾向のため、例年のようなインフルエンザの蔓延は発生しない代わりに、中国を発端とする新型コロナウイルス感染が世界的に広がっています。

この予防としては、いつものインフルエンザと同様に外出時のマスク着用、外出から帰ったら確実なうがい、手洗い、睡眠と栄養補給が有効だと言われています。

栄養補給は、この繁忙期を乗り切るために必要なことの一つですので、心がけるようにしましょう。当社では、2020年4月から適用となる「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」を取り入れた36協定を社員と締結することで、社員の体を気遣うとともに、確実に業務を遂行できるような方策を模索しながら日々研鑽を続けています。

今後も皆様のお役に立つ会社にすべく努力してまいりますので、よろしくお願いいたします。

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