トピックス

ミニコミ 2018.02.23

第117号(2018年冬号)

津波避難タワー視察

東日本の震災及び熊本地震の後、各地で津波避難タワーが建設されています。

特に、直ぐに避難することが出来ない地域の防災対策として、海に面し背後に高台が無い地域では避難タワーの整備が急務とされています。

こうした位置づけの中で、明日にも発生が懸念されている東南海地震の予測地域での避難タワー整備状況は、第1位が静岡県108基、第2位が高知県100基(高知県沿岸19市町村の内16市町村が整備済み)で第3位が三重県19基と静岡と高知両県の整備が突出しています。

平成27年12月国連総会において、11月5日が『世界津波の日』に制定されました。翌年28年11月5日には太平洋に面している高知において『大規模津波防災総合訓練』が実施されることになりました。

そして、大規模津波による被害軽減を目指し、津波に対する知識の普及啓発を図ることを目的に国土交通省、自衛隊、消防をはじめとした各防災機関が参加し、広域的かつ実践的な訓練が実施されました。

こんな経緯のなか、高知市中土佐町の津波避難タワーを見学する機会を得ることが出来ました。

このタワーの避難階は海抜約17m、地盤海抜6m、浸水深さが7mの津波がきても3.7mの余裕ある高さを設定しており、避難対象人数は400名の計画となっています。太陽光発電による照明設備、簡易トイレ・雨水利用の給水設備、防災倉庫・ヘリコプターによる救助スペースも設置されています。

これらの避難タワーは実際の大型津波に対して大きな効力を発揮することが期待されています。

しかし、私が実際にタワーに立って、実感した不安があります。それは今まさに津波に襲われるという非常時、そんな異常な精神状態でタワーに向って避難が出来るか、最適な判断が出来るか、確信が得られません。

津波発生を認識した緊急時、陸方向からタワーのある海方面へ向かって避難する勇気があるか。

また、高さ16m以上の海に面したタワーとはいえ、最上部に立った実感として、大自然の中ではそれ程の高さ(安心な高さ)が実感出来ませんでした。

タワーの高さ以上の津波が押し寄せてくる不安と恐怖等について、あらかじめ一人一人が自分自身の行動を決断しておく必要があると感じた視察旅行でした。

業者見積もり

補償業務を行っていく上で、標準書等で算定を行うことができない機械設備等の工事費の算定は専門メーカーの資料価格(カタログ価格等)及び見積価格を徴収して決定します。

カタログは、今ではインターネットを利用すれば瞬時に必要な項目を探し出すことができるようになり、以前からのように専門業者にカタログを請求し必要な項目をコピーすることも少なくなりました。

しかしながら、機械工作物等の新設費を求めたり、大型工作機械の移設を行う場合には標準書では対応することができず専門業者からの見積もりを徴収することとなります。

見積書を依頼する時は見積依頼書を作成することとなります。見積書の宛先、受け渡し場所、機器の名称・規格、見積範囲・条件等を詳細に記入し、専門業者と見積内容について十分に確認する必要があります。また、見積を徴収した時は、見積書の内容が依頼時の項目に沿ったものであるかの確認も重要です。

実際に施工を行う工事に対する見積もりであれば、専門業者も親身に対応をしてくれるものの、見積書の作成の依頼だけでは、なかなか思ったように対応してもらえません。業者とのやり取りの回数が増え手戻りが多く相手先を怒らせて見積書が頂けなくなったこともあります。

先日、起業者から見積書に計上されている数量の根拠をわかるように記載して欲しいとの依頼がありましたが、見積もり自体が専門的な知識を持って作成されたものであるため、私共でもその根拠を探し出すのは大変困難なことです。

今年度から標準書の改訂により、曳家工事費の書式は全国共通となり、木造は標準単価にそれぞれの係数を乗じて算定を行うこととなり、非木造の場合は業者見積もりを使用することとなりました。

曳家業者は専門性が高く業者数も少なく、見積もりを徴収するのも容易ではありません。中部では以前は木造と同様に標準単価、係数が掲載されており、簡単に算定することができました。見積もり徴収の手間を考えると以前の書式に戻らないかと甘い希望を持っています。

補償業務管理士専門試験

補償業務管理士専門試験を受けることになりました。その試験を受ける前に東京での専門研修があり、その研修に参加することになりました。ですが、地理にまったく疎い私はまずは無事に東京まで辿り着けるかが心配でたまりませんでした。しかも直前に風邪をひいてしまい当初は研修に行けるかどうかわからない状態でしたが、この研修を受講しないと試験が受けられないため、本調子ではない体を奮い立たせ頑張って東京に向かいました。

研修場所が東京都渋谷区道玄坂周辺で行われるため、名古屋から新幹線に乗り品川駅で乗換え山手線で渋谷駅まで行き、そこからは徒歩でホテルまで。順調に行けば所要時間は2時間半で着く予定が、その日の東京はなんと34年ぶりの大雪に見まわれ、渋谷駅の窓から外を見たら凄い光景が目に入って驚きでした。(実際の感想、えっ、ここから歩くの?体調悪いし倒れてしまうかも。と心の中でつぶやいてしまった私であった。)

横浜辺りから雪が積もっているのは新幹線の中から見て分かっていましたが、まさか大都会渋谷が吹雪いているなんて思いもしませんでした。

渋谷の駅から歩いて道玄坂のホテルへの道中も雪は止まず、上り坂で足は滑るし、片手に傘をさし、もう一方の手でキャリーバックを引きずって歩くのは病み上がりの体には地獄のようでした。

ホテルに着いた頃は名古屋駅を出て4時間も経っており、雪が降って寒いはずなのに着いた頃には汗をかいていました。その日は近くのスーパーで夕食を買い、明日の研修に備えて温かいお風呂に入り早めに就寝しました。

研修初日は昨日の雪が凍っており会場まで辿り着けるかと心配しましたが、さすが渋谷!!お店が多いこともあり、お店の方が店先の歩道を雪かきして下さったため、滑る事無く会場まで辿り着く事ができました。

研修は4日間あり、1日目から3日目までは9時から17時までみっちり勉強し、最終日は9時から16時まで勉強した後に専門研修修了証書を頂いて無事に研修が終了しました。                この4日間、経験したことがあるカリキュラムは完璧では無いものの理解することができたと思いますが、初めて耳にする内容はさすがに難しかったです。しかし、この経験をもとに私なりに頑張るしかないと思いました。

道中は何度か滑りそうでしたが、この試験は絶対に滑らないようにしたいです。

★かまいしだより№18

復興祈念公園(福島)への想い

先日、福島の復興祈念公園のフォーラムに参加しました。会場はいわき市で、私は6年前(震災の翌年)に楢葉町で除染作業の説明のため、いわき市を拠点としており、2ヶ月間滞在していました。久しぶりにいわき市の町並みを見て懐かしく思い、6年経た今、またこの町に来たことに深い感慨を覚えました。またいわき市へ行く途中、常磐線の車窓からではありますが、楢葉の町も見ました。除染も一通り終わり閑散とはしていましたが、私が6年前に見た時と比べてかなり町が綺麗になったように思われました。ただ、所々に除染された廃棄物が今でも仮置きされているのは残念でした。

さて、復興祈念公園のフォーラムですが、昼の1時半から始まり、最初に復興祈念公園の空間デザインを手がけている工学院大学の下田明宏教授の話がありました。この後、参加者達は8人程のグループに分かれて「わたしの公園の使い方」というテーマで意見を出し合いました。出された意見はグループ毎にまとめ発表し、最後に主催者が意見を全体としてまとめ上げフォーラムの締めくくりとしました。

復興祈念公園の基本理念は①「生命(いのち)をいたむ」②「事実をつたえる」③「縁(よすが)をつなぐ」(地域の歴史・文化を継承し、また心を癒す心の拠り所となる場を作るということです)④「息吹よみがえる」(地域の再生への強い意思と支援への感謝を発信するということです)

意見の中には、公園及び太平洋を見渡せる展望台を設置して欲しい、家族で遊べる遊園地を作って欲しい、伝統芸能やお祭り、コンサート等ができる会場を設置して欲しい、震災と原発事故の出来事、復興のプロセス、未来へ向けた展望等が残せるアーカイブ施設を設置して欲しい等、様々な思いが発せられました。

私自身は震災を被った当事者ではありませんが3年間福島で復旧・復興に携わってきましたので、この復興のメモリアルステージともいうべき公園事業について、全く他人事のようには思えません。何か手伝うことがあれば少しでも関わりたいと思います。そして、いつか福島の浜通りに来たときには、必ずこの公園に立ち寄りたいと思います。

復興祈念公園では2020年のオリンピック開催に向けて、イベントも計画されているようです。公園事業の都市計画としての認可は平成30年度になるようです。残された時間はあまりありません。地域の皆さんの思いを反映させた公園を一刻も早く完成させて、オリンピック開催時には全世界に復興の記憶と記録、そして未来への展望を発信して欲しいものです。

復興整備事業

東日本大震災から7年近くになり釜石市の復興整備事業も佳境に入ってきています。中心市街も市民ホールや魚市場、パチンコ店等が建設され賑やかになってきました。

私は釜石市に来てから2年になりますが、冬の寒さにはまだまだ慣れません。去年の冬は比較的暖かったですが、今年は寒波の影響もあり一段と寒いです。また、東北地方は日照時間が短いため少しでも作業に無駄があると予定通りには仕事が進まず、作業日数が増えてしまいます。

去年は福島県での復興関連業務もあったのですが、車で6時間程度かかり改めて東北地方の広さを実感しました。

福島の業務は釜石より作業範囲が広くなく多数の会社が一箇所に集中して作業を行うため、少しでも他の作業の邪魔になると厳しい言葉が飛んできたりもしましたが、全くの更地から整備された住宅や道路になる過程を知ることができたのは良い経験になったと思います。

私が主に携わっている現場は釜石市の嬉石・松原地区や東部地区になります。東部地区は範囲が広く、現在工事の最中であり、測量の作業としては基準点測量や復元測量を行っています。基準点測量では去年の9月にGPS衛星を使用するGNSS測量を行ったのですが、観測日に太陽フレアの飛散が重なってしまい再観測を行うといったことがありました。国土地理院のHP等の発表では直接的な影響は少ないということでしたが、精度的にも対象時間帯の観測データが悪かったためです。

また、国道45号高架下の変位計測を行っています。高架下周辺で嵩上げ工事が行われているためです。今回の変位計測では工事前・工事後に複数の固定したポイントを視準し高架橋に影響がないかを点検する作業をしています。

嬉石地区は諸工事が完了した後に行う確定測量が終わり、成果に基づいて境界杭を設置しているところです。作業としては穴掘りでひたすら地面を掘るのですが、地盤がとにかく固く杭1本を設置するのも時間がかかります。また、季節柄雪が積もるため、雪かきや融雪剤を使用しながら作業を行うため体力的にきついです。しかし、自分の手で土地を作っているという実感があります。

境界杭の設置完了後、出来形確認を行う予定です。出来形確認測量は設置した杭と確定測量の成果とを点検する作業なのですが積雪が心配です。

釜石の復興事業も残り少なくなってきましたが気を緩めず業務を行っていきます。

復興土地区画整理事業進捗状況

平成23年3月11日に東日本大震災が発生してから今年の同日で7年を迎えようとしています。平成25年11月から弊社が携わっている釜石市中央ブロック復興整備事業は東部地区と嬉石松原地区の2地区であり、嬉石松原地区は被災市街地復興土地区画整理事業にて早期復興を目指しています。そこで釜石都市計画嬉石松原地区被災市街地復興区画整理事業の進捗状況をご紹介したいと思います。

本地区の土地区画整理事業概要は施行者:釜石市、施行場所:嬉石町・松原町、面積:13ha、事業施行期間:平成25年3月15日(事業計画決定公告の日)~平成31年3月31日(換地処分公告の日)となります。土地区画整理事業の主な施行者は個人・組合・区画整理会社・地方公共団体・行政庁・公団等などがありますが、本事業は釜石市が施行者なため、地方公共団体施行となります。地方公共団体施行の土地区画整理事業の大きな流れとしては、

①地元住民とのまちづくり案の検討、②都市計画決定、③施行規程、事業計画の決定、④土地区画整理審議会、⑤仮換地指定、⑥実施設計・建物移転補償・工事、⑦換地計画・換地処分、⑧土地・建物の登記、⑨清算金の微収・交付、⑩事業の完了です。

本土地区画整理事業は平成25年3月15日付けをもって事業計画の決定の公告を受け、事業の推進を図ってきたので、弊社が本事業に関わり始めた時には既に本土地区画整理事業は着手されていたことになり、弊社が本土地区画整理事業に関わっている箇所は⑥実施設計・建物移転補償・工事~⑩事業の完了までとなります。

弊社が関わってからの事業の進捗としては、平成26年2月~平成28年3月の約2年で実施設計を完了し、工事は平成26年5月から実施設計と同時進行で行われ、平成30年3月末で工事概成、画地確定測量を完了する所まできており、土地区画整理事業の流れ⑥実施設計・建物移転補償・工事を終えようとしています。

本土地区画整理事業は復興事業ということもあり、工事概成した宅地で早期再建を希望する地権者から順次宅地の引き渡しをしてきましたが、平成30年上期を予定に土地区画整理事業区域内全ての宅地において建物の再建が可能になるように、使用収益開始通知の作業を現在進めているところです。

工事が概成し復興事業が完了したかのように感じますが、土地区画整理事業としてはもうひと踏ん張りの所まできています。無事に事業が完了するまで引き続き気を引き締めて業務に取り組みたいと思います。

編集後記

2月に入って立春も過ぎ、暦の上では春になりました。福井県では37年ぶりの豪雪に見舞われ、立ち往生の車が続出し、自衛隊の方々が除雪や食料や水の配布に奔走されたようで、助かった方も多くいられたと思い感謝する次第です。とはいえ日差しにはぬくもりを感じるようになり、木々は芽吹いてきており、春近しを感じる今日この頃です。皆様におかれましては、年度末で業務の繁忙期を迎えますので、体には十分気を付けてこの時期を乗り切っていただきたいと思います。

当社ではISO27001(ISMS)の認証取得のためのステージ2審査に向けて最後の追い込みとなっております。認証を取得することにより、情報セキュリティに関してもより一層管理の行き届いた会社となるべく努力をしていますので、今後ともよろしくお願いいたします。

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