トピックス

ミニコミ 2018.05.29

第118号(2018年春号)

10年サイクル景気

元号としては最後となる平成30年度も、国内では森友や加計問題、海外ではトランプと北朝鮮問題等、騒がしいなかスタートしました。

当面はこれらの話題が継続すると思いますが、この時期、毎年の事ながら、公共事業を含め安定した業務受注に期待する時期でもあります。

振り返ってみれば、20年前の平成10年頃はバブル経済崩壊後の積極的経済政策等の恩恵を受け、我々の業種にあっても民間開発業務に加え公共事業でも豊富な業務量があり消化するのに苦労したものでした。多くの同業者で過去最高の売上と利益を計上したのも、この時期であったように記憶しています。

その後、売上、収益共に急落し、以降10年間減少が継続し、10年前の平成20年にはリーマンショックを頂点に最悪状況、廃業する同業者も少なくはありませんでした。

そんな時期のなかで東日本大震災が発生、日本経済の混乱が続くなかではありましたが、震災復興事業に全国の同業者が力を注ぐ復興一色のなかで、東京オリンピック開催の決定、リニア新幹線建設事業開始等による建設事業の着手、更には熊本をはじめとする地震や洪水災害の大規模災害復旧事業等の建設関連業務に多くの建設関連業者が携わっています。

必ずしも全ての業者が災害復興や大規模建設事業の恩恵を受けているわけではありませんが、平成20年のリーマンショックから10年経過後の平成30年の現時点では、好況とまではいえないまでもそれなりの状況であるのではと考えられます。

振り返ってみれば、当に10年毎に好況、不況のサイクルが循環しています。20年前の好況の次には10年前の不況、そして現時点はまずまずの状況だとするならば、この先10年後は不況に向かっていくことになるかもしれません。

10年先の不況、そんな事にはならないために、今から備える必要があります。その為には、地域を限定することなく、また新規分野業務に対しても挑戦していかねばなりません。

結果、10年先に予測されるであろう不況に対しては余裕をもって迎えたいと、先のこととはいえ今は心を引き締めています。

補償コンサルタント?

新日に入社し補償調査部に配属され、もうすぐ2年となります。

会社に入って感じた事の一つに「補償コンサルタントと言う業種をもっと世間に知って欲しい」というものがあります。そういう私も、転職するまでは、アルバイトで事務処理を少し行った事がある程度の知識でした。

そもそも「補償調査」は一般の人々に知られていない職業だと私は感じております。転職を決めたとき、妻や親兄弟、友人知人に補償調査の話をしましたが誰も知りませんでした。

新日に入社してから企業異業種交流展示会へ参加をした時の話ですが、何度も質問された事は「補償調査ってどんな仕事ですか?」でした。

業務内容を説明するとある程度は理解して頂けるのでもったいないと思いました。学生はもちろん、自営業で建築に係わる仕事をされている人達でさえ知らない人がいるというのが現状ではないかと感じております。知人の大工さん達も、全く知らない職業でした。

私は建築科の大学を卒業し、地元の建設会社から数社を経てハウスメーカーへ落ち着きました。職歴としては、現場管理でしたが、平行して住宅販売営業も任されておりました。

そんな私がこの補償調査という仕事を選んだのは、大枠でしたが内容を知る機会があり、今まで自分が経験してきたことを活かせる職業だと知っていたからです。

私もアルバイト経験がなければ転職していなかったかもしれません。ですから、多くの皆さんや学生さんに知って頂きたいと強く思いました。そんな職業が有る事をまず知っていなければ興味の持ちようもなく、就職なんてありえません。

確かに、広い知識の必要な職業であるため、取っ付き難い職業かもしれません。その分、建築や土木だけでなく多くの方面からの門戸が開かれているとも言える、奥深くやりがいのある仕事であるのも事実です。

また、震災復興、高速道路、リニア等の計画においても、我々の活躍なくしてはスーパーゼネコンですら工事に着手出来ない重要な仕事です。

補償コンサルタントという業種の課題かもしれませんが、そんな重要な仕事をもっと発信して行きたい!と思っております。

ドローンのシミュレーションについて

先日、社内でドローンの活用を検討するためのシミュレーションに参加しました。

ドローンの補償業務での使用用途としては、建物上空からの工作物の存在や屋根形状の確認が有用であると思います。あるいは工損調査において通常は望遠レンズで撮影していた高所の壁損傷の撮影、屋根瓦の撮影等が可能となります。一般的な個人住宅であれば3階建て程度は10m位であるので高度は10m~20m程度、作業時間は10分~20分程度で充分だと思います。とすれば、許可の必要のない機体重量が200g未満のホビードローンで充分調査は可能と考えます。しかし、200g未満の機体の特徴としては、カメラの性能が低い、限界飛行時間がおおむね10分以下である、高度保持機能がないため操縦の難易度が高い、機体が軽量であるため風に弱く不安定である等が挙げられ、実用面では課題も多く残っています。

操作についてはシミュレーションとは言え、なかなか思い通りに操作できるものではありませんでした。レバーの操作があまりにも繊細であり、高度を保持するにも常に上下に動いている感じでした。横に動こうとして機体そのものが回転し、進行方向を見失い、意図しない方向に進行する→自分の方に戻そうとしてこちらに向ける→操作の左右が自分の視点と逆転する→前進しようとして上下と前後の操作を間違え上昇、下降する等これは前後移動、左右移動の操作が左右それぞれのレバーに振り分けられているのが感覚的に馴染めないのだと感じました。

聞けばこれはモード1と言う日本のみの操作モードであり国内のラジコンは全てこの操作モードだそうです。しかし、世界的には左レバーで高度調整し、右レバーで前後左右の平面的移動が行えるモード2が標準とのことでした。

操作モードについて自分はラジコン経験が全く無い初心者であったため、世界標準でもあり直感的に操作できるモード2の方が操作し易いと感じました。今後、ドローンの普及に伴い、日本標準の操作モードが世界的に拡大していくとは考え難いのでモード2で始めるのが良いのではないでしょうか。またドローンの機体の操作性は、法規制の対象となっている200g以上のドローンの場合は、高度を保持するホバリング機能が付いていることと重量があるため少々の風があっても安定していて必要な高度まで上昇させれば前後左右の操作に集中できるのでより操作し易いのだと聞きました。

業務に使用する以上、やはりある程度重量があり安定性の高い機体で正規に許可を受けて運用するのが適切であると感じました。

運用するに当たり、いくつか思うところもあります。例えばドローンそのものの騒音、隣近所へのプライバシー、住宅敷地内で使用する場合の安全性や映像の画質、機体の連続稼働時間、安全に飛行できる風速等の天候条件に対する限度等、使用して初めて見えてくる問題点もあると考えられます。まずは実際に導入して使用してみることが必要だと考えます。

★かまいしだより№19

測量・地理空間情報イノベーション大会

去年、測量・地理空間情報イノベーション大会に参加しました。

今や様々な業種で、人手不足が深刻化しています。技術者の人手不足は今後も進んで行く上に、働き方改革等が加わると生産性の低下などによる経営状況の悪化が予測されることから人工知能(AI)を取り入れる動きが広まってくることは必然であります。

身近な話題として2020年開催の東京オリンピックまでには広く普及させる自動運転タクシーやバスなど自動走行地図を実用化することで自動に走らせることができます。

建設業界でもi-Constructionを導入することで生産性を向上させる技術に取り組んでいるようです。ドローン等により短時間で高密度な3次元測量を実施することで3次元測量データと設計図面との差分から施工量(切土・盛土)を自動算出させると共に3次元設計データ等によりICT建設機械による自動制御する施工や検査の省力化(ドローン等による3次元測量を活用した検査)など色々な話が聞けて参考になりました。

また、特別講演で東日本大震災が発生した際に世界各国から多くの義援金が寄せられた話がありました。その中で多くの義援金を送ってくれたのは人口約2.3千万人の台湾であり、その額は2百億を超えたそうです。当時はマスコミで大々的に伝えられることはありませんでした。特別講演でその義援金がどうやって集まったかの話があり、それを聞いて台湾に行ってみたいと思いました。 今年も測量・地理空間情報イノベーション大会に参加する予定です。最新の技術について話を聞くことが出来るので楽しみです。釜石市に来て5年になりますが復興事業もあと少しなので頑張っていきたいと思います。

維持・管理・活用の時代へ

放射性廃棄物の中間貯蔵施設の設置に伴う用地取得のため、総合支援業務により日本補償コンサルタント復興支援協会のある福島へ赴任となり早3年が過ぎ4年目を迎えています。

中間貯蔵施設とは、除染で取り除いた土や放射性物質に汚染された廃棄物を最終処分するまでの間、安全に管理・保管するための施設で、福島第一原発を取り囲むような位置で計画しています。その用地取得における物件調査(一般、公共施設)結果に基づく補償額算定調書の審査業務を行っていますが、この事業自体が前例のないもので、かつ国策事業であることから通常と異なる「中間貯蔵施設整備事業における損失補償算定実施要領」に基づき調査・算定を実施することになります。この実施要領は原則、帰還困難区域内に存する対象建物等の移転工法は「再築工法」とし、避難指示解除後において再築することを前提に補償することや建物等の取り壊しは高線量下であるため建物等所有者に代わり起業者が当該事業と併せて実施することから、解体・処分費の補償が不要なことや避難指示解除の再築であるため解除後の年数を考慮し前価率を乗じて補償額を算定するなどの特殊性を持った要領となっています。

この様な事業に関われることは今までの業務経験を生かしながらも、補償基準の基礎的な要素も再確認出来ることとして貴重な経験であります。

しかし最近、用地業務とは?総合建設コンサルタントとは?などのキーワードから色々と考えることがあります。

 

用地業務からの連想では、

・東日本大震災、阪神淡 路大震災、熊本地震の復興事業などの経験を基に、今後起こりうる大震災に向けた「復興ガイドライン」の作成が必要でないか。

・全国各地の原子力発電所は海岸部に点在することから、今回の福島第一原発事故における中間貯蔵施設設置に伴う用地取得における実施要領に基づく補償基準などの基準整備が必要ではないか。

 

また、総合建設コンサルタントに関連しては、

・松山刑務所大井造船作業場から脱走犯の捜索ニュースで約1200件に及ぶ空き家との記事がありました。表面的には分からないですが島人口からして1200件とは驚きました。対象地域では、当然空き家再生事業などの行政手段が行われていると思いますが、この問題は少子高齢化に伴う日本各地の問題であると考えられます。これらの土地、建物の再生化などの事業への参入も可能ではないか。

 

などと考えています。

1年後に元号が平成から新元号に変わりますが昭和、平成における新規の建設、建築などの時代から、維持、管理、活用といった分野での総合建設コンサルタントとしての責務や業となす時代となっていくのではないかと思います。

ラグビーワールドカップまであと507日!

来年の9月20日から11月2日の期間で開催されるラグビーワールドカップ(以下RWC)日本開催まで507日(5月1日時点)となりました。私達が復興に取り組んでいる釜石市では、鵜住居復興スタジアム(仮称)でフィジー×ウルグアイ、アフリカ地区代表×敗者復活勝者の2試合が予定されており、機運も徐々に盛り上がってきています。

鵜住居復興スタジアムは、震災にて被災した鵜住居小学校と釜石中学校の跡地に建設中であり、今年8月19日のオープニングに向け工事が進められています。スタジアムは「最大限コンパクトなスタジアム」というコンセプトで計画されており収容人員は約1万6千人(常設6千人、仮設1万人)と試合会場の中で最も少なくなっています。横浜国際総合球技場の4分の1以下ですからチケットに当選した人はプラチナチケットをゲットしたと思ってもらってもいいかもしれませんね。と言っている私は釜石出身の弊社社員に開催都市住民選考抽選販売で応募してもらったのですが見事にハズレてしまい、次の抽選に再チャレンジする予定です。

さて、当社で取り組んでいる釜石市中央ブロック復興整備事業2地区も終盤に差し掛かっています。被災市街地復興土地区画整理事業として整備を進めてきた嬉石松原地区は、今年の1月に工事も竣工し、3月までに画地確定測量を終え4月上旬に使用収益開始通知を送付するに至りました。現在は、本年度中の換地処分に向け業務を推進中で、徐々にではありますが商業施設や家屋の建設も進んでおり、街並みも形成されてきています。 一方、津波復興拠点整備事業や漁港施設機能強化事業で整備を進めている東部地区は、用地買収の遅れや存置する既存施設・家屋との取り合い、6m程度の高盛土を施工するための仮設道路の切り替えやライフライン (水道・ガス・汚水・電気など)の切り回しなど多くの影響があり、当初予定より遅れてはいるものの今年度中の概成を目標に工事が進められています。当社の業務としては街区確定測量・画地確定測量などの測量業務を残し、設計業務・補償調査業務はほぼ完了している状況です。

震災から7年を経過し確実に復興は進んでいますが、当社が復興に取り組んでいる2地区にも未だ仮設住宅での生活を余儀なくされている被災者の方も残されています。今後も釜石市が一日でも早く復興できるように、また、RWCが開催されるまでに復興した釜石市に世界中のラグビーファンをお出迎えできるように、微力ではありますが復興業務に取り組んでいきたいと考えています。

編集後記

今年は、例年に比べ気温が高くなるのが早かったため、サクラを始め、フジやツツジ等の花が早めに咲いて、観光地ではイベントを前倒しして行ったところもあるようです。新年度の異動等と早い気温の上昇で体調を崩しやすくなっていますので、くれぐれもご自愛ください。

当社は、平成30年3月22日にISO27001:2013情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の認証を取得することができました。これまで以上に情報セキュリティに関しても一層管理の行き届いた会社として皆様のお役に立てるよう努力をしてまいりますのでよろしくお願い致します。

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