トピックス

ミニコミ 2019.06.10

第122号(2019年春号)

消費税制の改正

今年、令和元年10月より消費税が8%から10%に引き上げられる予定です。過去にも10%に引き上げられる予定がありましたが、増税が経済や生活等に与える影響を懸念し、政府は2度に渡って増税を先送りした経緯があります。(平成27年10月、平成29年4月)

また、今回の増税に対しても、景気悪化を懸念しての増税先送りは、タイミングとして論外とは言いながらも、一部の政治家筋からは「消費税引き上げの三度(ミタビ)延期すべし」の発言もニュースとして取り上げられています。

そして、消費税が引き上げられるとしても、生活弱者(低所得)の負担を軽減するために特定の品目に対しては軽減税率が適用されます。更に建設業のような引渡しまでに期間を要するものに対しては経過措置が執られる事になっています。

軽減税率適用にあたって、負担を軽減する特定の品目とは『日々の生活において幅広い消費者が利活用している飲食料品と週2回以上購読する新聞』を特定品目としています。

経過措置の適用とは、引渡しが令和元年10月以降となる請負契約(工事や一定の要件に該当する測量、設計、ソフトウェア開発)では、その請負の契約日が令和元年3月31日までか4月1日以降かによって税率が異なることになります。

契約日が3月31日までの場合には経過措置が適用されて旧税率8%となり、契約日が4月1日以降では新税率である10%が適用されることになります。このことは消費税を事業者として何パーセント払うかの問題となります。

しかし、補償コンサルタント業者の立場からすれば、補償業務に携わる上で、対象権利者へ消費税相当額を補償対象とすべきか否か、あるいは何%とすべきか等は、非常に微妙かつ重要な問題となってきます。

そもそも消費税制度が最初に導入されたのは30年程前、竹下総理の時代でした。

税率は3%と現時点に比べれば非常に低率でしたが、導入当初、補償額算定の上でも、先ずは免税事業者、簡易課税事業者、そして本則課税事業者かを区分する必要がありました。

そして、消費税相当額を補償額にどう反映させるかについては、発注者・受注者共に非常に難しい問題でもありました。

また全国的にも、更には会計検査でも、それぞれが異なった判断がなされ、大きな混乱を招いたことを今でも鮮明に記憶しています。

今回の消費税制の改正に当って、補償コンサル従事者は業務実施の上でも無関心ではいられません。消費税の判断・取り扱い如何によっては補償対象企業の経営に大きく影響するものです。

消費税10%及び軽減税率制度、経過措置制度の考え方等については、新規調査業務、再算定業務のみならず補償説明業務等多くの業務に対し、しばらくの間は混乱することが懸念されます。

所有者等の確認(その4)

前回(第116号)にて借家人(借間人)等が取り付けた設備・工作物・造作の所有者確認の方法を述べました。今回は、祠(ほこら)等の所有者について、一般的な確認方法を記述したいと思います。

調査に行く前には、調査対象地の登記簿謄本などで土地の登記名義人を確認します。調査では土地所有者の確認を行い、土地立ち入りの了解を得て、建物・工作物等の調査を行うことが一般的です。

調査対象地に祠が存在することがあります。祠と言っても形状も色々でお社に納められている場合、露天に置かれている場合など一様ではありません。祭られている神体も、木像・石像・自然物など多種多様です。

調査の内容として、現地では祠の形状・材質・大きさ等を測定し、写真撮影を行います。土地の所有者と祠の所有者が同じである場合は良いのですが、そうでない場合も往々にあります。

祠の設置された経緯が分かる場合は、聞き取りを行います。祠には屋敷神様、水神様、荒神様、塚、堂、地蔵様など屋敷内だけでなく、地域に関係するものも多くあります。地域の入り口に設置されているもの、三叉路の分岐に設置されているもの、山の神のように山中に設置されているものなど限りがありません。祠は、土地の所有者にも設置の経緯が伝わっていない場合が多く、所有の確認はスムーズに行かないことの方が多いと考えられます。

特に、地域の馴染みの祠の場合は、詳しい人物を紹介してもらって聞き取ることも大切なことだと考えます。教育委員会など情報を把握している場合もありますので、問い合わせることもあります。また聞き取りを行っていくと祠で無い場合もあります。お墓であったり、記念碑であったり、境界の目印であったりします。

祠の調査では、最後まで詳しい情報が入手出来ないこともあります。土地所有者、地域関係者、起業者等の協力が不可欠です。祠を移転する必要が生じたときは、所有者はもとより管理者が誰なのかを把握をすることが必要です。地域に根付いた祠の場合、移転先が現在の近辺に要望されることが多く、実態に即した対応が必要です。

長年、補償調査業務に携わっていますが、補償物件の正確な把握は最も基本的なことです。今後も正確な物件の所有者等の確認には最大限の配慮を尽くしてまいります。

平成31年度税制改正大綱について

平成30年12月21日付閣議決定された平成31年度税制改正大綱が発表されております。

平成31年度は消費税増税が控えております。この度の税制改正大綱では消費税増税が社会経済に過大な負担を与えることの無いよう、各種の軽減措置・暫定措置を取ることが書かれています。関連分野である所有者不明土地利用の円滑化等に関する特別措置法に規定する地域福利増進事業等が5千万円控除ほか、税控除の対象に加わるなど、少々の変化があるようです。

以下ではあくまで私個人の基準ですが、重要と思われるものを備忘的にまとめました。勿論、あくまで大綱の段階であり関連諸法の改正の具合によっては予定が変わることもあるものです。

  • 優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例の適用対象の追加。

所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法に規定する、地域福利増進事業を実施する者に対する当該申請書に記載された事業区域内にある次に掲げる土地等の譲渡で、当該譲渡に掛かる土地等が当該地域福利増進事業の用に供されるもの。

①各地所有者等が有する特定所有者不明土地又はその上に存する権利。

②権利取得計画に記載された土地等。(令和元年6月1日以降の譲渡が対象)

特定所有者不明土地の土地使用権の取得についての都道府県知事による裁定後に行われた土地等の譲渡であること。

  • 5千万控除等に所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法に規定する土地収用法の特例の規定による収用があった場合を追加。(令和元年6月1日以降の譲渡が対象)
  • 空き家に掛かる譲渡所得の3千万円特別控除の特例制度の拡充。
  • 特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の2千万円特別控除の適用対象に、重要文化財、史跡、名勝又は天然記念物として指定された土地が文化財保護法に規定する文化財保存活用支援団体に買い取られる場合を加える。
  • 農業経営基盤強化促進法の改正に伴う変更。

①特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の2千万円特別控除の適用対象に、農用地利用規定の特例に掛かる事項が定められた農用地利用規定に基づいて行われる農用地利用改善事業の実施区域内にある農用地が、当該農用地の所有者の申出に基づき農地中間管理機構に買い取られる場合を加える。

②特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の1.5千万円特別控除の適用対象をより限定

③農地保有の合理化等のために農地等を譲渡した場合の800万円特別控除の適用対象をより限定。

  • 土地等の売買による所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限延長。

 

この他、民法改正に合わせた相続関係税制の改正も見込まれています。不動産取引に関わる法律・制度が大きく変わりゆく年になるので、情報の変化に気を付けていきたいです。

★かまいしだより№23

釜石にもう6年…あと1年…

私が釜石に来てから6年が過ぎて元号も平成から令和に変わり、時の経つのは本当に早いものです。

当社が担当する業務も区画整理地区については現地作業は完了し、換地処分の公告・清算金の処理・区画整理登記を残すのみで、あともう一息となりました。(1年前も同じ様なことを言っていた気がしますが。)

東部地区国道西側については、平成30年度に工事を完了出来なかった箇所についても夏完了を目途に作業中であり、当社の作業も秋には完了予定です。

国道東側については、平成30年3月工事完了予定でしたが住居の退去が大幅に遅れている関係者(新しい家を建てた後に地区内の現住居から引っ越しがしたい。現時点でも引越し先の家が未建築のため退去されていない状況です。)の退去予定の6月頃より建物の取り壊し工事を進めるため、秋頃を目途に工事完了予定で、国道西側の作業と並行しながら作業を行なう予定です。

復興事業では特に強く感じますが、予定している業務以外の作業が発生することがあります。通常業務でも関係者間で連携を取りながら業務を進行していますが、災害危険区域に指定された区域内に建物を新築する場合に、建築物の基準面高さ(最大クラスの津波の水面高)が指定され、床高を基準面より高くする必要があるため、嵩上げ以前は市により設置された水準点を基準として地盤高を測定することにより必要な基礎高を決定し建物を建築していました。嵩上げ工事により水準点が亡失してしまったため工事完了後、事業範囲内に水準点を設置する必要が生じました。(嵩上げについては当社が担当している課、建物建築については直接関係していません。)同じ市役所内でも連携不足が生じます。県・国交省等の他の役所等が関係する場合はさらに複雑で、同市役所内での担当する課・出先機関と本庁等内容により窓口が変わります。

事業も残り1年となった今年は元号も変わり、花巻~釜石間の高規格道路も開通しました。車移動する場合、開通前は1時間30分以上掛かっていましたが、開通後は概ね1時間程度で移動できるようになりました。鉄道花巻の場合は花巻~釜石間は快速電車で1時間30分、普通で2時間程度。運行本数は通勤通学時間には1時間に1本、その他の時間は2時間に1本程度です。強風で時々運休になります。三陸鉄道リアス線も8年ぶりに全線開通し、総延長163㎞が一本のレールで結ばれました。

秋にラクビーワールドカップが釜石鵜住居復興スタジアムで開催されることが決定しています。復興は確実に進んでいます。今後も気持ちを引締め微力ながら最後まで職務を遂行していきたいと思います。

名古屋勤務を経て福島へ

私は昨年度、生まれ育った地元を離れ、名古屋の本社で勤務をしていました。

これまで、毎年催される納会には参加させて頂いていたので、何人かはお話したことのある社員の方はいましたが、名前も分からない方がほとんどでした。また、地元の岩手県とは距離にすると1千㎞弱、人口は約200倍で街並みも大きく異なります。そんな環境の中での生活には多くの不安がありましたが、ひと月もすると自然と本社の空気に溶け込めていました。

おかげで多くの先輩や後輩に支えられながら業務を進めることができると共に、自分の欠点を再認識することもできました。十人十色という言葉があるように、何事においても一人一人考え方は違います。職場に始まり各発注者や見積り業者、さらには行きつけの居酒屋の常連さんに至るまで、様々な意見を聞けるからこそ、自分の物事に対する考え方を見直す機会も多くありました。この一年間ではこのように多くの人と接することの大切さを学べたことが一番の収穫だったのではないかと思います。

私は平成31年4月より福島県のCM業務に携わらせて頂いており、用地部門を担当しています。名古屋に比べれば地元に近づいたとはいえ、やはり言葉も気候も変わるんだなと感じている今日この頃です。

私自身、これまでCM業務というものは実際に担当したことがないのですが、釜石市の復興事業で市と私たち建設JV、CMが一丸となり進めてまいりました。用地買収補助業務という、所有者と起業者の間に入り交渉を進めていく業務を経験することもできました。

交渉が難航する地権者もいましたが、誠意をもって何度も訪問し、最終的には事業への協力を得ることができました。

自分達が物件の調査算定をし用地の取得に携わった土地に、新しい道路や宅地が完成したときの達成感は大きなものでした。今後、従事するCM業務ではこのような釜石での経験を活かせればと思っています。

今もなお東日本大震災の影響で帰還困難地域の指定がある福島県。私も同じ被災地出身の人間として、一刻も早い復興を日々念頭におきながら円滑な業務の進行を目指したいです。

私事ではありますが、私の趣味の中に温泉とお酒があります。福島県は全国的にも温泉と日本酒が有名な県です。福島県に引越してから今日まで何度か居酒屋に行きましたが、本当においしいお酒ばかりでした。よほど良いお米と水が福島県にはあるのでしょう。

しかし残念なことに、東日本大震災による福島県産の飲食物に対する風評被害は現在でも続いています。この問題に僕は直接どうこうできるものではありませんが、実際に福島県に住んでみて良さを知っているからこそ解決したい問題でもあります。

福島県での具体的な勤務期間はまだ分かりませんが、何かの縁で降り立った地なので存分に満喫し、一人でも多くの人に福島県の良さを伝えられれば良いなと思っています。皆さんも、令和という新しい時代の始まりと共に、ぜひ福島県に足を踏み入れてみてはいかがでしょうか?

入社して半年で感じたこと

私がこの会社で測量の業務に携わるようになって半年が経ちました。

わずか半年間ではありますが、その半年間で印象に残っている出来事がいくつかあります。

まず始めにTS(トータルステーション)についてです。大学を卒業し他の業界に就職した私にとって、TSはおよそ4年ぶりに接するものでした。転職した当初、私は入社までの時間を使い大学の頃の参考書などを読み直したりと、できる範囲で準備をして初日を迎えました。入社してまもなくTSの使い方を教わる機会があり、その時、私は使い方はおろか据えることさえできませんでした。先輩方は「最初は誰でもそうだ」と言ってくれましたが、この先やっていけるのだろうか?と正直不安になったことを覚えています。しかしその不安はすぐに解消されました。TSを据えることさえ出来なかった私に対し、先輩方がこのようにすれば据えられるようになるとアドバイスをくれたり、据える練習の際には様子を見に来てくれたり、実際にやり方を見せて頂いたり、そのおかげでTSを据えられるようになりました。またその後、現場では徐々にではありますがTSを任せてもらえるようになり測定方法なども丁寧に指導して頂きました。

その結果、未だに迷惑をかけることもありますが少しずつできることが増えてきていると実感しています。

次にドローンを用いた測量についてです。ドローンについては撮影などに使われているとは知っていましたが、測量にも用いられていることは知りませんでした。

このドローン測量を実際に体験してみて、法律によりどの様なエリアなら飛行させて良いか決められていること、飛行可能エリアでも民家や鉄塔などへ注意を怠たってはならないこと、ドローンの点検などをしっかり行うこと、天候や風速条件などで飛行させる前段階の準備が大切なこと、飛行させているあいだも万が一に備えいつでもコントロールできるよう注意することなど、様々な準備が大切であることを知りました。これはドローン測量に限らず、仕事においても共通することだと思います。

この半年間で様々なことを経験させていただきました。その都度、初めてのことで分からないことが数多くありました。そんななかで、なんとか今日まで続けてくることができたのは右も左も分からない私を、厳しくも優しく指導してくださる先輩方がいたからこそだと強く感じています。

このような先輩方への感謝を忘れず、一日でも早く一人前になれるよう日々精進していきたいと思います。

編集後記

今年もさわやかな新緑の季節になりました。

4月には異動等があり5月には元号が令和になりました。また、今までにない長期の連休があるなど色々変化が多く大変な時期となりましたが、いかがお過ごしでしょうか。

当社では新しい社員を8名迎え、各部署ともフレッシュな気持ちに切り替え、業務に取り組んでいます。五月病等が発生しやすい時期でもありますので、体調を崩さないようどうぞご自愛ください。

4月に社内で品質管理の内部監査員養成講座を開き、7名の内部監査員を増員しました。これで内部監査員が総勢46名となり、品質方針である「顧客満足度を高めるため、迅速、ていねい、確実に業務を遂行する」を実行するため今後も努力を続けてまいります。

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