第126号(2020年春号)
コロナショック
「生まれてこれまで経験したことの無いような被害に!・・・」
頻繁に発生する地震、豪雨、台風などで度々耳にしてきた言葉です。
最近では、原因はともかく、あらゆる災害がその規模、場所、内容こそ異なれ、これまで経験した事のない、いわゆる想定外の災害による被害を受けていると感じているのは私だけではないと思います。特に、愛知県を含む中部地方では東南海地震に対する不安をかかえているなかで、更に今年の2月頃からか、今度は誰もが全く想定もしていなかった新型コロナウイルス肺炎に、日本のみならず世界中さまざまな都市の封鎖や病院での院内感染や医療崩壊が発生し、その恐怖に怯え、加えて社会経済は低迷と混乱に陥っています。
昨年までは、慰安旅行や忘年会等社員揃っての行事を実施しておりましたが、現在ではお互いが一定の距離を置き、極力話をしない等、いわゆる三密の防御努力をしています。こんな関係、努力をいつまで続ける必要があるのでしょうか。これこそ私が今まで70年生きてきた中で経験した事のない想定外の出来事です。我々コンサルは、これまで地震にせよ豪雨台風にせよ、最近の災害等の国家的非常事態に対しては復興事業に参加すること等で世に少なからず貢献してきたと実感しています。
しかし今回の非常事態に対しては、経済が混乱縮小しウイルス感染が拡大を続ける間は何も出来ずただ今は耐えることが必要かもしれません。このような状況の中、政府発表の『新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針(令和2年4月11日変更)』および愛知県からも、『社会の安定の維持』に必要な工事及び業務の事業継続の要請を受けています。これらでは、三つの密を避けるための取り組みを講じつつ事業継続を求められ、難しい経営判断に直面しています。しかしながら、いかに想定外の非常事態とは言え、どんな事態も必ずや終わるときは来るはずです。
如何なる嵐の夜もやがては静かな朝が来ます。
そして混乱し傷んだ経済を建て直す為に全ての人々が立ち上がることでしょう。そんな時、きっと我々コンサルは災害等復興と同じように経済の建て直しに貢献できると信じています。その為にも、今は誰もがただただ自粛の時と考えます。
私自身、地にしっかりと足をつけ、社員一同この非常事態を耐え、コロナウイルス感染騒動以前の社会が戻ってくることを信じ、これまで同様地道な業務遂行に努めて行く覚悟です。
補償業務管理士試験
補償業務管理士とは、一般社団法人日本補償コンサルタント協会から付与される民間資格で、補償業務を実施する際の主任担当者、管理技術者等の資格要件となっています。
補償業務管理士は業務の内容により土地調査、土地評価、物件、営業補償・特殊補償、機械工作物、事業損失、補償関連、総合補償の8部門あり、資格取得には各部門の実務経験と研修が必要となります。研修は部門ごとに毎年1月から2月にかけて4日間東京で行われますが、この時期は大学入試と重なるため宿泊場所を確保するのに苦労します。私が2年前に研修に参加した時の東京は数年に1度の大雪に見舞われ、直前に罹ったインフルエンザの病み上がりの体で雪の中、スーツケースを引きながら歩くのが凄く大変だったことを思い出します。雪で滑ることはなかったのですが、試験は見事、滑ってしまいました。今回、再チャレンジということで、令和2年4月19日に行われる試験を受けるため勉強を始めました。
そんな時、去年の暮れに中国武漢で発生した新型コロナウイルスのニュースが流れ、日本でも今年1月の中旬にクルーズ船で感染者が確認されて中国に住む日本人も専用チャーター機で帰国。
帰国したもののコロナウイルスの潜伏期間と言われる約2週間の経過観察の後、感染していないことを確認され家路に着くことが出来るという状況をニュースで見聞きするのですが、身近な出来事とは感じることもなく早い段階で新型コロナウイルスも収束すると思っていました。しかし感染者は増えるばかりで緊急事態宣言の発出、外出自粛要請がなされる中、私の会社でもテレワークによる在宅勤務が始まりました。当然の事ながら三密となる補償業務管理士の試験も6ヶ月延期の10月18日との通知があり、年度末の忙しさを言い訳に試験準備が進んでいなかった私にとって、喜び7割、悔しさ3割と言ったところです。
悔しさの3割は、「少しは勉強したのに」と「6ヶ月先まで勉強しなきゃいけないの」です。6ヶ月で準備不足を取り戻せるとポジティブに捉えることが出来れば良いのですが、心の中では「まだ6ヶ月もあるから・・・」と悪魔のささやきが。そんなことを言っていたらダメ。今年こそは、試験、頑張るぞ!!
補償額算定のための 見積徴収について
補償額算定において、メーカーや専門業者の見積が必要となる場合がある。多くは機械設備であり、「機械設備調査算定要領、別添2機械設備工事費算定基準、第3章単価及び見積、第3(見積書等)」で見積徴収の要否、見積依頼先、見積書の記載事項等について細かく定められている。そのため、機械設備の算定で見積が必要となる場合には、見積の徴収に要する費用を業務費として計上するため、委託業務費積算基準等で歩掛が示されている。しかし、補償額算定で見積徴収が必要となるのは機械設備に限ったものではない。
非木造建物の曳家工事費では、平成28年度までは「中部地区用地対策連絡協議会・非木造建物移転料算定基準、第2(移転料)」で、「曳家工事費は別記の算定式によることができる」として算定方法が示されていたものが、建物移転料算定要領の一部改正に伴い、平成29年度から曳家移転料の算定は「曳家移転料算定要領」で、「木造〔Ⅰ〕以外の建物については、原則として専門メーカー等の見積を徴することにより行うもの」となった。当然、曳家工事費の見積は曳家専門業者に依頼することになるのだが、曳家工事費の見積は機械設備(既存機械と同一あるいは規格・能力等が同等の代替品)の見積に対して建物は構造、用途、面積、平面形状、地盤・隣接地の状況及び曳家工程等が全て異なり同一のものがないこと、また非木造建物の基礎は統計数値により算定することから、「非木造建物調査算定要領、別添1非木造建物図面作成基準」では基礎に関する図面の作成は必要ないとされている。
非木造建物の曳家工事では、基礎と上部の体を一体として曳家する基礎共移動工法(総受工法)が適しているとされ、基礎の形状が見積書を作成する上で重要な要素となるが、既存図で確認が可能な場合を除き基礎の正確な形状を把握することは困難である。見積依頼に際しできるだけ多くの情報を提供するため、基礎に関する図面(想定)、曳家工程図等を作成し、補償額算定に係る見積である旨を説明するのだが、「想定で見積はできない」「現場を見なければ見積は書けない」等の理由により難色を示されることが多々ある。
補償業務で徴収する見積は移転補償額算定のための見積であり、業者にとっては直接受注に結び付く可能性が低いと思われることも理由の一つと考えられることから、見積作成に要する労務費等を支払うことで何とか依頼を受けてもらうことが可能となっている。
曳家工事の見積徴収には、このように手間や費用が要するにも関わらず委託業務費積算基準等に曳家工事費の見積徴収に関する項目はないとして業務費に反映されないことが実情である。
見積徴収を円滑に行うためにも機械設備以外に見積徴収が必要となった場合には、見積徴収に要する費用を何らかの形で業務費に反映できる方策等を講じる配慮を切に願うものである。
編集後記
今年は暖冬だったため、さわやかな新緑の季節も早めに到来しました。しかし、なぜか気持ちが消沈しているのは私だけでしょうか。活動的な季節を迎え、重い気分を払拭し、意気衝天、前向きな気持ちに切り替え、より一層業務に励みたいと思います。皆様も大きな環境変化が押し寄せる中で、精神的なダメージを受けやすい時期でもありますので、体調を崩さないようどうぞご自愛ください。
当社ではフレッシュな人材を3名迎えました。変動する時代を受け入れ、自らが変化することの一端としてドローンを取り入れた調査に取り組み、今まで以上に皆様のご期待に応えるべく技術の研鑽に励みますので、今後ともよろしくお願い致します。