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ミニコミ 2023.11.21

第140号(2023年秋号)『インボイス制度スタート』ほか

インボイス制度スタート

10月1日より、適格請求書等保存方式(インボイス制度)がスタートしました。様々な手続き、書式変更及びシステム変更等で皆様苦労されている事と思います。弊社でも身近なところでは立替金の申請について変更となりました。

補償金の算定における消費税相当額の補償についても、令和5年9月20日付で中央用地対策連絡協議会事務局長(国土交通省不動産・建設経済局土地政策課長)より『「公共事業の施行に伴う損失の補償等に関する消費税及び地方消費税の取扱いの改正について」の一部改正について』が通知され、また、この改正を補完するものとして、令和5年9月28日付で不動産・建設経済局土地政策課公共用地室用地調整官から「適格請求書等保存方式(インボイス制度)に係る消費税相当額の補償について(周知)」の事務連絡が通知されました。

この周知のQA【始めに】において、「かかる補償上の取扱いについては事業者が税務署に提出する消費税等確定申告書や各種届出書を中心に判定されること等を踏まえると、適格請求書等保存方式(インボイス制度)の開始に伴い、これまでの調査算定実務の流れにおいて大きく変更する点はないものと考えます」との一文があり一安心したところではありますが、次の段において「併せて、本制度導入から一定の期間につき経過措置が設けられており、小規模事業者にかかる税額控除に関する「2割特例」については、消費税等相当額の補償の取扱いに影響する点がみられる」との記述がありましたので「2割特例」についてQAより一部抜粋し紹介致します。

まず影響とはフローの留意事項※10(新設)「消費税等調査上、免税事業者の適用条件を満たしながらも令和5年10月1日から令和8年9月30日迄の日の属する課税期間において、適格請求書発行事業者の登録を受けている場合(その後、取消して効力がない場合は除く)にあっては、小規模業者に係る税額控除に関する経過措置として、いわゆる2割特例を選択できることとなる。本特例は課税仕入れを実額によらず課税売上高の一定割合(80%)をもって課税仕入れとみなすものであり、通常の事業活動による課税仕入れでない損失の補償等の消費税及び地方消費税は仕入税額控除されないため、当該フロー上「消費税等相当額の一部を補償・補償不要」に至る場合であっても、被補償者が本特例を適用して消費税を申告する場合には、別途かかる消費税等相当額の補償が必要となる点に注意されたい。」

Q2)2割特例の趣旨は何か。

A2)適格請求書等保存方式(インボイス制度)の開始から一定期間は適格請求書発行事業者の登録により課税事業者となった免税事業者について、負担軽減を図る観点から納税額を売上税額の2割に軽減する経過措置「2割特例」が講じられるものです。

Q3)2割特例の適用対象者は誰か。

A3)2割特例の適用対象者は、適格請求書等保存方式(インボイス制度)の開始を機に免税事業者から適格請求書発行事業者として課税事業者になった者となります。したがって、適格請求書発行事業者の登録を受けていない場合には2割特例の適用対象とはなりません。また、適格請求書発行事業者の登録とは関係なく、基準期間における課税売上高が1千万円を超える場合等や事業者免税点制度の適用を受けることのできない事業者は2割特例の適用対象となりません。

Q4)2割特例の適用期間はどのように考えればよいか。

A4)2割特例を適用できる期間は、令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する各課税期間となります。

Q10)2割特例を適用する事業者に対する消費税等相当額の補償上の取扱いはどのように考えるのか。

A10)2割特例については、消費税等相当額の補償上、以下の理由により考慮する必要があり、全部補償の取扱いとなります。

この「2割特例」には、申出書、聞き取りチェックシート(8項目)等が必要となりますので、今後の営業調査の際には一手間増えることとなります。

また、今後も改正される可能性があるので常に最新法令をチェックする必要があると思います。

用地買収後の負担増(税金・年金等)

民間で土地を売却するような場合、所得税(復興所得税含む)、印紙税、登録免許税(抵当権が設定されている場合)、収入が増えることにより変動する住民税等について税の負担が求められますが、公共事業のために土地を売り渡した場合に限り所得(譲渡)税については課税されない又は課税が軽減される等の特例が受けられるようになっています。(税務申告が必要で土地の買収代金等の資産の対価として補償金を受け取った場合は5千万円迄。事業用地の代替地として提供した場合は1.5千万円迄等)。また、代替地を取得した場合や建物等の補償を受けて新築等を行った場合にも原則課税される不動産取得税が軽減されることになっています。(県への届け出が必要)

用地取得交渉の契約時には一般の土地売買契約と同様に『重要事項説明』が必須となります。その重要事項説明の中に税金や年金関係の負担増についても触れられており、所得税や不動産取得税の税額控除については詳しく説明されるところですが、収入が増えることにより変動する税金(国民健康保険料、後期高齢者医療保険料、介護保険料、所得税・住民税の扶養控除等)や年金(農業者年金や福祉年金)等については上記の他にも多種多様にわたる上、各人によりその内容も異なることから踏み込んだ説明が出来ず、各市町村の税務課や農業委員会、年金事務所、土地改良区等に問い合わせをして頂くようお願いすることになります。

この税金や年金についての説明は、現役世代の健康状態に問題が無い権利者等の方であれば補償金が収入となるため、住民税や保険料が増額になること、現在との差額は個々人により異なるため、詳しくは各担当窓口へご相談下さいとの説明を行なうことで、ある程度理解して頂けるか、多少のお小言があったにしても承知して頂けることがほとんどです。稀に実際の増税額が分からなければ契約に応じられないと主張される方もいらっしゃいますが、税金・保険料は各人の収入状況等が確定した後に計算されるため、負担増がどれだけになるかを事前に把握することは困難であり回答ができません。しかしながら、思いもよらない土地売買ではあったとしても確実に所得は増え、税金や保険料等の増額の負担も1年間の期限付きとなるため、土地売買等の対価としてお支払いする補償金の中で賄って頂くよう説明を行ないます。

ただし、住民税等が非課税となるような世帯収入の少ない方は補償金を受け取ったことによる非課税世帯からの除外や、収入を得たことによる所得区分の変動に伴う保険料の増額(軽減率が引き下げられる)等が考えられます。特に介護保険施設の利用者は、食事や居住費等の利用者負担の限度額(日当り)が増額となり、その他無償で提供されていたサービス等が受けられない等の弊害が生じることが予見されます。

公共用地への協力は所得税や不動産取得税に対する特例措置があることから一般の土地売買と比較すると確かにお得感があるかもしれません。しかし、年金のみの受給者や介護保険の恩恵を受けている世帯にとって所得区分の段階が上がってしまうようなギリギリの補償費が支払われる場合は、収入増というプラス面と税の負担増や各種保険料の増額等というマイナス面の問題が伏在していることにも意識を持ち、税金・年金の負担に対する説明を行なう必要があると考えます。

規格や仕様について

補償業務において、ほんの一過程ではありますが建材や単価について迷うことがあります。特に昭和初期の比較的古い建物などは、床下はどうなっているのか?基礎はどうなっているのか?と見えない部分は想像が付かないことも多いです。もちろん、そのような時は先輩達に相談しながら業務を進めます。例えば、壁下地でラスがあってモルタルがあって仕上げを塗るとか、ある程度想像はできても実際の建築現場を知っている方は基礎の知識があり強みになると感じています。

と言いつつも私自身が、じゃあ建築現場に勉強に行ってきますというわけにはいきませんので、ここで簡単ではありますが建材の規格の違いなどについて何点か整理したいと思います。

まずは壁や床、家具などに使われる身近な合板ですが、主に1類2類と分けられています。合板の1類2類の違いについては、日本農林規格で定められています。

1類は、コンクリート型枠用合板及び断続的に湿潤状態となる場所(環境)において使用することを主な目的とした第3条第2項の接着の程度の要件を満たすもの。

2類は、時々湿潤状態となる場所(環境)において使用することを目的とした試験の接着の程度の要件を満たすもの(日本農林規格より)だそうです。

ちなみに構造用合板については特類と1類に分けられています。

また、基礎や外構で馴染みのあるコンクリートブロックについては日本産業規格がA種B種C種D種と区分しています。簡単にいうと圧縮強さ、質量吸水率で分けられており、A種は一番弱く軽く、B種、C種と強くなっていきます。質量吸水率はA種30%以下、B種20%以下、C種10%以下となっており、これらの違いで主に用途が分かれていきます。A種は園芸用といわれ、B種は屋内ブロック、C種は屋外、外構向けといわれています。あまりなじみがないですが、ブロック建築で使われるD種もあり、用途により適切なコンクリートブロックを選択する必要があります。

塗装においても、A種B種と区分分けされています。大まかにいうと不透明塗料塗りの場合はA種、透明塗料塗りの場合はB種となっています。

損失補償算定標準書の単価表では、屋外、屋内、建具面と分かれているのでわかりやすいかと思います。また塗装の細物単価がありますが、ここでの細物とは糸幅300㎜以下のことで、m当たりの単価となっています。塗装の種類や詳しい工程などについては、公共建築工事標準仕様書を見ると、塗装種類ごとに記載されていますので興味のある方は是非ご覧下さい。

ガラスについては建具単価に含まれている場合もあり、あまり計上することはないかもしれませんが、ガラスの規格に規模2.18㎡以下、規模4.45㎡以下とあります。例えば、引き違い窓4㎡だと、ガラスは二枚に分かれるので2.00㎡となり、使用する単価は2.18㎡以下となります。

また、防火地域、準防火地域、法22条区域(防火地域・準防火地域以外の主に木造住宅が密集している地域に指定されています)の内装制限がある場合は、不燃材料か準不燃材料か定められた仕様に沿わなければなりません。例えば、同じ石膏ボードでも厚さが12.50㎜以上は不燃材料になりますが、厚さが9.50㎜以上の石膏ボードだと準不燃材料となります。

また、延焼のおそれのある部分の開口部については網入りガラスや防火ガラスが必要で、線入りガラスは既存不適格(法改正等により現在の法律に適合しなくなった)となります。

限られた中ではありますが、こうして整理する中で規格や基準を知ることは視野が広がることだと改めて感じます。実務で使うか使わないかはさておき、今後も現状の法や仕様がどうなっているのか意識していきたいと思います。

新入社員1年目の私

私は、今年の4月より新日に入社し補償調査部に配属され、補償コンサルタント業務に従事しています。

今回、新入社員として1年目の私が、補償コンサルタント業務に従事した所感について記したいと思います。

皆様ご存じとは思いますが「補償コンサルタント」とは、一般社団法人日本補償コンサルタント協会のHPでは、「公共事業を施行するには、土地を取得したり建物等を移転したりする必要が生じ、国、地方公共団体等は正当な補償を行います。所有権や借家人等の関係人に生じる損失の補償やこれらに関連する業務を国、地方公共団体等の起業者から受注したり、請負ったりする者(法人又は個人)を補償コンサルタントといいます。」とあります。

また、補償コンサルタントの行う業務は、土地調査、土地評価、物件、機械工作物、営業補償・特殊補償、事業損失、補償関連及び総合補償の8部門からなり幅広い知識が求められます。

何より、調査対象の土地や建物等は権利者の財産の中でも生活の基盤であり、最も大切で高価なものと言えます。

それゆえに、右も左も分からない新入社員である私は、どのような業務を任され、業務に対して貢献できるのか、地権者の大切な財産を正確に算定できるのか等、日々多くの不安と疑問を抱きつつ業務に従事しているところです。

入社から数日後、先輩社員と初めて現場調査に同行し、私は先輩の補助として、建物寸法の計測、工作物、立木、建物の内外装等の仕上げ等を記録する役割を担いました。無事に調査が終わった後、最初に感じたことは「迅速、的確、丁寧」。

調査対象の土地にあるもの全てを限られた調査時間のなかで丁寧かつ正確に書き起こし、さらには、建具、造作、設備まで事細かく記載されており、これを見たとき私は改めて業務の難しさを実感しました。

そして、現場調査を終えた後は「調査報告書」の作成に移りました。私は、調査を行った建物の図面の作成と補償費の算定を任されました。図面の作成では調査を行った現状の建物をそのまま図面に起こすため、容易なものと考えていました。しかし、先輩方のように算定に必要な事項を網羅した分かりやすい図面は作成できず、先輩方の数倍の時間を要し、さらには、作成した図面を確認してもらうと、名称、線色、線種、寸法等、ミスの指摘が驚くほど出てしまう始末でした。

建物補償費の算定では、対象となる建物全てが権利者の大切な財産であることから、使用されている全ての材に価値があり欠かすことのないよう拾い出さなければなりません。そのためには、建材等の構成やその用途、組合せ等を理解しなければならず、膨大な資料を前に、私自身の無力さを痛感しました。

それでも、私が携わった初めての調査報告書が完成したときは、1つの案件に対して費やした時間と労力の賜物であり、責任感と達成感に満たされやりがいを感じたことを今でも忘れません。

現在、私は入社してから半年ほどが経ち、今では、物件調査だけではなく、事前調査、営業調査等の様々な案件を先輩社員の指導のもと行っています。そんな私ですが、補償コンサルタント業務に従事して感じたことは、補償コンサルタント業務で扱う案件は1つとして同じものがなく、案件に応じてその都度、多くの知識を必要とし、さらには、全ての案件で権利者の大切な財産に関わるため、慎重かつ的確な調査及び算定をすることを求められる責任重大な仕事だということです。

業務は内業、外業のバランスが程よく、案件に応じて県外に出張に行くこともあり、様々な場所で調査を行うことなど、魅力的であり、やりがいを感じています。これから先、数年後に私が携わった建物が移転し、道路等の公共施設が完成したのを見て、街づくりに貢献できたのだと実感する日が来ることを楽しみにして、これからも日々、勉学に励み知識を身に着け業務に従事したいと思います。

地役権設定とは②

今回は当社が請負っている業務を具体的に説明していきます。

当社が行っている業務の流れとしては、初回訪問時に地役権設定の説明を行い同意が得られれば、①承役地の権利者把握(登記名義人が死亡の場合は相続登記が必要となり相続人の人数把握、追跡調査の承諾)、②権利が設定されている場合 抵当権、根抵当権の抹消、再設定登記の協力要請、③登記簿住所と住民票住所の差異の確認、④契約内容の説明及び同意取り付け、⑤地役権設定対価(補償額 概算額提示)説明、⑥契約時に必要な書類の説明

④⑤地役権の登記事項

不動産登記法80条1項に定められています。

・要役地

・地役権設定の目的

・地役権設定の範囲

⑥必要書類

・登記原因証明情報:契約書等(合意内容記載)

・登記済権利証または登記識別情報通知:登記簿上に記載されている土地である事を示す書類

・実印、印鑑証明書:発行の日から3ケ月以内のもの

・地役権図面:承役地のどこが地役権か図示したもの

・代理権限証明情報(委任状):司法書士への依頼に必要

・振込依頼書:地役権設定対価の振込先口座番号の記入

・マイナンバーカード及び通知カードによる番号提供(お願い)

送電線は、道路や橋と同じ公のものであり、租税特別措置法の適用を受け、非課税(5千万円控除の対象)となる予定であることを説明。地権者に対価をお支払いしたことを税務署へ報告する必要があり、個人番号が必要であることの説明。

⑦契約日時を確定し訪問(当社担当と司法書士にて訪問し地権者と契約)、⑧預かり証の発行(司法書士)、⑨登記完了後地権者へ登記完了証と地役権設定後の登記全部事項を配付し、登記全部事項の確認、地役権設定報告。土地の権利書または登記識別情報通知を返却、⑩確定申告用の証明書(公共事業用資産の買取り等の申出証明書(資産の所有者交付用)、公共事業用資産の買取り等の証明書(譲渡者交付用)、収用証明書(資産の所有者交付用))が届くことを伝え業務完了となる。

業務で一番苦労することは初回訪問時に説明する時に地役権とは何ですか?から始まる場合が多々あり、前段の用語等説明を行い実際現地の写真を見せ送電線下の権利の設定説明から始めています。送電線が通ってから何年も経って設定の説明に行く場合、なぜ今頃ともよく言われます。

交渉事であり対人への信頼関係の構築に充分配慮し、誠実に対応することを心がけています。

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