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ミニコミ 2024.02.20

第141号(2024年冬号)『令和6年能登半島地震の発生』ほか

令和6年能登半島地震の発生

令和6年1月1日の午後4時10分頃、石川県能登地方を震源とする最大震度7の地震が発生し、気象庁は約4時間に渡り大津波警報を発令し、日本海側の広い範囲に津波が到達しました。

中部地方でも大きな揺れを感じ、正月気分が一瞬にして消え去ってしまいました。テレビ報道により次々に被害状況が明らかになり、13年前の東日本大震災を思い出させるようなニュース映像に胸が痛みました。

被害状況等については連日報道され被害の大きさから10日後の11日には「激甚災害」、「特定非常災害」に指定されました。

被災された方々には心よりお見舞い申し上げます。

1月24日午前6時には震度1以上を観測した地震が1,506回となり、国土交通省の災害情報(第50報)によれば、

【人的被害】死者233人(石川233人)、重傷318人(新潟5人、富山3人、石川310人)

【住家被害】全壊94棟(新潟65棟、富山23棟、石川6棟)、半壊1,390棟(新潟1,215棟、富山122棟、石川44棟、福井9棟)

【道路】高速道路:1路線1区間で通行止め、1区間で北向き通行止め、直轄国道:1路線1区間で通行止め、補助国道:3路線19区間で通行止め、都道府県道等:3県66区間で通行止め

【鉄道】施設被害:2事業者2路線、運転見合わせ:在来線2事業者2路線

【航空】能登空港:滑走路閉鎖中

また、石川県発表の災害情報によれば、市町1次避難所に避難者10,530人、県避難所に3,598人の方々が避難され、断水戸数は44,880戸と発表されています。

被災された方々のための仮設住宅の建設もようやく始まったようですが、地理的要因や被害の大きさから復旧・復興にどれだけ時間を要するのか先の見えない状況が続く中、自然が新たな牙をむき24日は日本列島に寒波が押し寄せ全国的に大雪となり、名神高速道路では長時間に渡り立往生が発生しました。北陸地方も雪が降り続き被災者の方々には苦難の連続となりましたが、何とか頑張って乗り越えていただければと願っています。

東海地方では、南海トラフ巨大地震の発生への懸念が高まっていると言われており、他人事ではなく備えの重要性を再認識したところです。この災害を遠くの出来事ではなく、明日は我が身と気持ちを引き締め、微力ながら弊社としましても東日本大震災の経験を活かし、まちづくりのお手伝いや道路、河川及び海岸等の復旧・復興事業のお手伝いが出来ればと考えています。

被災された皆さまが一日も早く元の生活に戻ることができますよう、心より願っています。

最有効使用

「正常な取引価格」、不動産鑑定評価基準にいう「正常価格」が成立する条件の一つとして、「対象不動産の最有効使用を前提とした価値判断を行うこと」が挙げられていることから、公共用地取得に係る土地評価に際しては、この最有効使用の原則の理解が不可欠となります。

不動産は、用途の多様性という特性を有しているので、異なった使用方法を前提とする需要が競合します。この場合の需要者の付け値は、需要者の意図する使用方法によって異なるため、需要者の間に競争が働くことになり、結局は、その不動産に最も高い価格を提示することができる需要者がその不動産を取得することになります。不動産に対して最も高い価格を提示することが可能となるのは、その不動産を利用することによる利潤が最大となるような使用方法、すなわち不動産の最有効使用を前提とした場合だけです。

ここでいう最有効使用とは、不動産の効用(収益性又は快適性)が最高度に発揮される可能性に最も富む使用方法をいい、現実の社会経済情勢の下で客観的にみて、良識と通常の使用能力を持つ人による合理的かつ合法的な最高最善の使用方法に基づくものです。

留意すべき点は、例えば「話題」のIRや遊戯施設等特別の能力を持つ人による使用、周囲の環境等からみて大規模商業施設やホテルの立地は非現実的であるなど実現の可能性が少ない使用、既存不適格建築物を含め法令上の制限に適合しない非合法な使用等は最有効使用とはいえないことです。

また、現実の使用方法は、必ずしも最有効使用に基づいているものではなく、不合理な個人的な事情による使用方法のために、当該不動産が十分な効用を発揮していない場合があり、例えば、幹線道路沿いや駅前に展開する商業地域における現況戸建住宅などがこれにあたり、現行の用途のみをみて土地評価を行うことは正しくありません。

その他、不動産の最有効使用の判定にあたっては、

●使用収益が将来相当の期間にわたって持続しうる使用方法であること

●効用を十分に発揮し得る時点が予測し得ない将来ではないこと

に留意すべきで、一般に平面駐車場のような使用方法(市街化調整区域等にあって法令上の制限から宅地としての利用ができない場合を除く)は使用収益の持続性の観点から最有効使用とはされず、また、用途的地域の種別を宅地見込地地域と判定するにあたっては、周辺地域を含む広域的な地域の動向を分析し、用途転換の実現の蓋然性に関する検討が必要で、土地評価事務処理細則第二条において総合的に考量すべき事項として判定指標を列挙しているのはこのためです。

井戸の移設補償の現場から

福島県のCM支援業務に派遣されてから3年半が経ち、メインで携わっている事業も続々と竣工となり、完了が見えてきたところですが、年始に能登半島地震があり、福島県でも昨年夏の台風による豪雨災害で県南東部に大きな被害が出るなど、災害大国に住むことの難しさを改めて思い知らされているところです。

災害時に復旧が優先されるインフラの中でも特に重要なものは水道ですが、日本の上水道普及率は令和3年時点で98%(厚生労働省調べ)となっており、世界でも有数の水道普及率を誇ります。

一方で、国内でも上水道の設置が困難な地域もあり、現在でも昔ながらの堀井戸や、地中に鋼管パイプを埋め込む打ち込み井戸の需要も少なからず存在しています。

福島県は県全体の普及率が94%と、全国平均からはやや低い水準で、市町村単位では普及率が著しく低い自治体も存在します。

井戸を掘るのに重要な水脈というのは水源や河川が近くにあるほど見つかりやすく、今回のような河川事業ともなると支障物件として井戸が単体で出てくることがあります。

現行の補償金算定標準書では、工作物の補償として打ち込み井戸、堀井戸共に単価が設定されており、現地調査を基にそれぞれの規格に応じた単価を適用します。これに加えて水質検査費とポンプの移設費、配管の新設撤去費を加えたものがよくある井戸の補償費として算定されるものとなります。

一方で、水脈の有無に左右されることから実際の金額は掘ってみないと分からないことが多く、都道府県や市町村によっては、生活用水に井戸水を使う場合、水質制限を設けているために深さが必要になるなど、工事金額が想定外に高くなる可能性が大いにあるのが井戸補償の難しいところです。

特に構内再築を採用した場合には、並行して行う工事も考慮に入れる必要があり、計画河床高以上で補償した場合は工事中もしくは竣工後に渇水が発生するリスクを伴うため、その事を念頭に置いて算定する必要があります。

非常に稀なケースですが、井戸のみの補償で近くまで上水道が通っている場合は、水道への接続工事費と通常妥当とされる年数分の水道料金の補償を行うこともできますが、接続工事費が高額になる傾向が多く、経済比較により井戸補償となるケースが多いと考えられます。

原則として、補償金額の超過分は地権者様の負担となる旨を説明したうえで補償契約を結んではいますが、実際に掘るとなった際に想定外の見積金額に難色を示し、業者とトラブルになることもありました。

比較的少額となる工作物・立木のみの補償では、実費と補償額の差が数万円の増であったとしても心理的には大幅な負担増と思われます。

さく井業者も年々数が減少しており、妥当と思われる金額で掘削する業者を探すのも一苦労で、河川工事業者や地質調査でお世話になった業者に紹介してもらうことが多く、業者との折衝もかなり苦労しました。

標準書での算定は比較的単純ではありますが、実際の実務になるとここまで難しいものかと痛感させられました。このような現場に遭遇すると、どこで対応を間違えたのか、あの時この方法を選べばよかったのではと頭をよぎることもあります。

この時期に貴重な経験が出来たと思う反面、まだまだ自分には勉強が必要であることを痛感しました。

登記識別情報

皆様の中にも土地・家・マンション等の不動産を所有し、住まわれている方も多いと思います。

その不動産を所有している場合は、登記済証(一般には権利証と呼ばれる)をお持ちかと思います。

登記済証は売買・贈与・相続等により不動産の所有権を新たに取得した際に作成されます。

今回は現在、私が携わっている業務を紹介致します。

事業の説明を行い、なぜ貴方の土地が必要かを説明し納得していただいた上で、最終的に地権者様の土地に新たな権利を設定させていただくまでのお手伝いをしています。この過程を用地交渉といいます。

土地を扱う際は色々な手続きがあり、当然ながら登記簿に新たな権利を付けさせていただくことになります。

地権者様に事業説明を行い、権利取得のための承諾を得た後に契約の署名・捺印、印鑑証明書等の必要書類をいただいて登記の運びとなります。

権利取得をするには地権者様から司法書士又は利害関係者が登記済証を預からせていただくことになります。契約は地権者様との日程及び司法書士又は利害関係者とも調整を行いながら私も同席し、色々な書類に署名・捺印をしていただき、最後に登記済証を預かることになります。

今までの登記済証は平成16年に不動産登記法が改正され廃止となり、登記識別情報通知へと順次切り替わっていきました。私が今までに携わった中では地権者様から預からせていただいたのはほとんどが登記済証であり、登記識別情報通知ではありませんでした。

今回、共有者における登記識別情報通知で法改正以前の登記済証においては、一冊の登記済証に共有者全員が書かれたものでした。登記済証は一度の登記により、不動産の数や持分に関わらず1通での発行が可能でした。しかし、法令の改正により、登記識別情報通知は今までの登記済証とは違い、共有者についても各個人毎に登記識別情報通知がなされることになりました。

 

例)土地と建物を夫と妻の二人の共有持分とした場合、登記識別情報通知は土地で2通、建物で2通となり計4通となります。

 

今後は相続などによって既存の登記済証と共有になった登記識別情報通知が必要となってくることもあり得ます。

また、色々なパターンを想定しながら地権者様と意思疎通を行えるように信頼関係を構築していくことも必要となります。

一度作成された今までの登記済証は新たな所有者(共有者)に変更されるまでは、登記識別情報通知が再発行されることはありません。いくら古いものであっても登記名義人であり続ける限りは同じ権利が有効にあり続けるということです。

業務上、土地・家・マンション等の不動産に関わる私どもにとっては今後とも法改正についての情報収集を怠らないことを念頭にいれながら地権者様との交渉を進めなければならないと改めて思います。

非木造建物の調査

物件補償を行う際の建物は構造等により、木造建物[Ⅰ]、木造建物[Ⅱ]、木造建物[Ⅲ]、木造特殊建物、非木造建物[Ⅰ]、非木造建物[Ⅱ]に区分されています。今回はその中の非木造建物[Ⅰ]鉄骨造建物の調査について紹介いたします。

まず、現地調査を実施する前に、建築時の確認申請図書(書類及び図面等)の有無について確認を行います。図面等がある場合は、現地調査において図面を基に間仕切りの確認を行い、現況の状態と相違が無いかを調べます。調査は木造建物と同様に、部屋ごとの寸法の計測、各部屋の仕上げ及び部屋高の計測、建具の種別・硝子の種別・内法寸法の計測、造作工事及び電気・給排水等の設備の確認を行います。木造建物と非木造建物の違いは、木造建物の木材費に含まれている部位別の材料(長押・廻り縁・額縁等)を拾い出せるように調査を実施しなければならない点にあります。

鉄骨造の建物を調査する上で大事なことは、鉄骨部材(柱や梁の位置・寸法)の確認です。工場・倉庫等で仕上げが無く柱が露出している場合は、柱の芯々や外々寸法、軒高の測定は容易に行うことが可能ですが、住宅・店舗・事務所等で仕上げ(内装)が施工されている場合は、直接柱の位置を確認することは出来ません。その場合は、建物内部の柱型から位置を特定したり、建物外部の外々寸法と内部で測定した内法寸法を基に柱位置を割り付けしたりします。

最終的には、建物登記簿及び固定資産評価証明書等の面積を参考にして建物形状を決定します。

柱・梁の形状・肉厚は算定する上で非常に重要な項目であるため、部屋に床下収納庫や天井点検口がある場合には、そこから内部を調査し、柱・梁の形状や寸法を目視し写真撮影を行い、計測できる場合は計測を行い、柱・梁の形状・肉厚を決定します。

実際に目視、調査できない部分は、ある程度推測となってしまいますが、そこは資格のある調査員が今までに業務を行ってきた経験と知識を基に決定することになります。

地権者の皆様の大切な財産を評価する上で、如何に忠実に現況建物を表現できるかが大事なポイントとなります。現場で調査してきた寸法で図面を作成していくと、不整合な部分が見つかることも有り、そのような場合は写真等で確認しながら修正を加え図面を完成させていくこととなります。

長年建物の調査・算定を行って来ましたが、非木造建物の調査となると木造建物とは違い比較的建物面積が大きくなることや手間を要するため、振り返ってみると一歩引いた感じで取り組んできたような感じがします。

比較的大きな建物では、A3版では収まりきらずA2版で図面作成を進め、木造建物とは異なり建具図等も必要となることから図面枚数も多くなります。

非木造建物の調査でも面倒がらず、若手社員にも自分の知識を教えながら、自分自身も建築の知識や仕上げ等の新しい事柄を勉強し吸収し、より良い成果品の完成を目指していきたいと思います。

用地補償分野にChatGPTを活用できるのか?

1年ほど前から皆さんもChatGPTといった言葉をところどころで聞く機会が増えたのではないでしょうか。ChatGPTとは、OpenAIが開発した自然言語処理のためのモデルであり、高度なAI技術によって、人間のように自然な会話ができるAIチャットサービスのことを指します。

現にChatGPTは、令和5年12月時点で185の行政・自治体で活用、あるいは活用を検討しており、弊社でも活用できないか模索している最中です。

実際にChatGPTを試行利用した方に対するアンケートを見ると、文章生成や要約、アイディア出しへの評価が高く、業務の効率が上がったという声が上がっているようです。

一方で、専門的な情報検索や計算には向かないとの声もあるようです。確かに、弊社のようなコンサルタント会社が行う図面の作成、補償金の算定等の業務はテキストベースではどうしようもできないような仕事であり、活用しようがないように思われます。

実際、用地補償の分野にChatGPTを活用している事例を探してみましたが、残念ながら具体的な活用方法を見つけることはできませんでした。

では用地補償分野にChatGPTをどのように活用できるのでしょうか?実際にChatGPTに質問してみました。

質問:ChatGPTをどのように用地補償関連の仕事に活用することができますか?

ChatGPTの回答:用地補償関連の仕事において、ChatGPTを活用する方法はいくつかあります。いくつかのアイディアを挙げてみましょう。

①法的質問への回答:用地補償に関連する法的な質問や疑義に対して、ChatGPTが法的な知識やガイダンスを提供することができます。ただし、法的アドバイスの代替としてではなく、サポートツールとしての利用が適しています。

②手続きやプロセスの説明:用地補償の手続きや法的なプロセスに関する説明を行うために、ChatGPTを使用することができます。関係者やクライアントに対して分かりやすく情報提供が可能です。

③ドキュメンテーション作成:用地補償に関連する報告書や提案書の一部を、ChatGPTを使って生成することができます。これにより、素早くかつ正確なドキュメンテーションが行えます。

④FAQの作成とメンテナンス:よく寄せられる質問に対する回答をChatGPTが生成し、ウェブサイトやドキュメンテーションに組み込むことで、関係者が簡単に情報を入手できるようになります。

⑤教育とトレーニング:初心者向けのトレーニングプログラムやセミナーの資料を作成する際に、ChatGPTを利用して分かりやすく説明することができます。

ただし、ChatGPTは一般的な情報提供のためのツールであり、法的な判断や重要な意思決定の代替としてではなく、専門家の助言と組み合わせて利用されることが重要です。

 

ここまでがChatGPTの回答です。

私が投げかけた質問が抽象的だったこともあるかもしれませんが、なんだか的を射ていない回答が返ってきました。

上記のChatGPTの回答も踏まえて私自身が活用できると思う方法をまとめると、

1.議事録、打合せ協議簿等の作成

2.業務概要書等の文章の添削や校正作業

3.物件所有者等に配布する調査依頼文書等の作成

正直まだ、精度を見ると発展途上だと感じますが、ChatGPT自体もAI学習がなされており、時間が経過するに連れて精度の向上、活用できる分野の拡大がなされるとされています。高齢化が進む業界ですが、我々人間も日々の学習を怠らず、知識や教養を広めていきたいものです。

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