トピックス

ミニコミ 2026.03.03

第149号(2026年冬号)『石川県の公費解体の完了』ほか

石川県の公費解体の完了

令和8年1月15の石川県知事の記者会見にて、令和6年能登半島地震により被災した家屋等の所有者の申請に基づき市町村が所有者に代わって解体・撤去を行う「公費解体」が、令和7年12末時点で別管理建物(1,763棟)を除いた申請棟数42,385棟について、全ての解体が完了した旨の発表がありました。(※別管理建物:修繕・利活用を申し出た建物、土砂崩れで解体できない建物、解体に時間を要する大規模建物など、市町がやむを得ないと判断した建物)

市町の棟数内訳は

・珠洲市 8,335棟

・輪島市 11,820棟

・能登町 4,516棟

・穴水町 2,790棟

・七尾市 6,482棟

・志賀町 4,778棟

・その他 3,664棟

となっています。

弊社も(一社)日本補償コンサルタント復興支援協会より要請を受けて輪島市から公費解体を申請された建物のうち約300棟について令和6年4月から令和7年7月まで調査・仮算定・完了確認等を実施いたしました。

当初は、宿や飲食店も限られていましたが、徐々に道路も復旧し店舗数も増加していきました。弊社も当初こそ宿を輪島市内の民宿としましたが、その後は、七尾市や富山県の氷見市、高岡市のビジネスホテルから輪島市に通い調査を実施しました。途中、令和6年奥能登豪雨により更に道路事情が悪化したこともあり、時にはナビで案内される道路が土砂で通行止めで、大きく迂回することとなり所有者の方と解体業者さんからお𠮟りを受けたり、豪雨により道路が分断されていたにも係らず、何度も調査のお願いの電話をしてお叱りを受けたりしたこともありましたが、何とか依頼を受けた件数を調査することが出来ました。

今思えば、もう少し協力できたのではないかとも思いますが、中部地区での通常業務を並行してこなしていた状況をふまえると、これが当時の限界だったのかなとも思います。

中部地区においても、気象庁のHPには「南海トラフ地震は、駿河湾から日向灘沖にかけてのプレート境界を震源域として概ね100~150で繰り返し発生してきた大規模地震です。科学的に想定される最大クラスの南海トラフ地震(南海トラフ巨大地震)が発生した場合、静岡県から宮崎県にかけての一部では震度7となる可能性があるほか、関東地方から九州地方にかけての太平洋沿岸の広い地域に10mを超える大津波の襲来が想定されています。2026年は甚大な被害が発生した昭和南海地震(1946年12月21日)の発生から80年となる節目の年です。前回の南海トラフ地震(昭和東南海地震(1944年)及び昭和南海地震(1946年))が発生してから約80年が経過した現在では、次の南海トラフ地震発生の切迫性が高い状態です。いつ起きてもおかしくない次の南海トラフ地震に備えましょう。」と、明記されています。

これを受け、「備えあれば憂いなし」を肝に銘じ、日々業務に取り組みたいと思います。

認可地縁団体の設立にむけて(その1)

私が担当している河川事業(堰堤老朽化による大規模改修工事)の事業用地内に約400名の多数共有地があります。改修工事計画の詳細設計を行ったところ、既存堰堤の一部が既に民地を侵害しており、当該改修工事計画においても事業範囲内となるため、令和9年度中の工事着手に向けた早期用地取得の実現性について検討が必要となりました。

先に述べた通り当該土地は約400名の多数共有土地(山林)となっており、登記簿から権利者のほとんどが同地域に居住していること、聞き取り等により山林を管理している任意団体(○○共有林)が存在することが分かりました。

用地取得の施策として①任意交渉による取得、②土地収用法による取得、③認可地縁団体の特例措置による取得があり、①の任意交渉による取得は、個々の地権者との面談が必要となり、相続登記不履行の場合は遺産分割協議等の手続き、不在者の場合は財産管理制度の適用などが必要となります。

また、②の土地収用法による取得は、法に則り強制的に用地取得は可能となるものの、事業認定申請図書の作成や裁決申請書等の作成及び申請の受諾を経るための、起業者の意思・能力・費用・時間が必要となります。事業そのものの正当性等を担保するための資料作成が必要で①や②の施策では工事着手予定時期までに用地取得を完遂する事は難しいものと考えられました。

そして、③認可地縁団体による不動産の特例措置の適用について相続登記の不履行や所在不明者が確認された場合であっても通常の用地取得よりも期間の短縮が可能となり、早期の事業着手には最も合理的と考えられることから、認可地縁団体設立の可能性を検討することになりました。

認可地縁団体の設立に向けて管理する任意団体の理事と協議を行ったところ、共有林内の財産処分や譲渡の他様々な問題についても権利者全員の賛同を得る対応に苦慮しているため、前向きに検討したいとの回答はありましたが、設立時には○○共有林で管理する他の地番も包括する等の要望もありました。

認可地縁団体設立の流れとして、理事等との事前打ち合わせ、地元住民への説明会、役員選出、総会の開催、規約等を作成し地方公共団体へ提出及び認可を受ける必要があります。

なお、目的の用地取得については、認可地縁団体を設立し、不動産に係る登記の特例措置を受けて団体の所有物となった後に行われます。

現在は包括する11地番の権利者確認を行っていますが、700名ほどまで膨らみそうです。

残り2年ほどで認可地縁団体の設立から用地取得まで本当に実行できるか不安しかありませんが、事業の早期実現のため尽力していきたいと思います。

また、用地取得が完遂した際の良いご報告ができる事を願っています。

個別的要因~地積~

個別的要因とは、不動産に個別性を生じさせ、その価格を個別的に形成する要因をいいますが、その作用のしかたは、土地の種別により異なります。今回は、個別的要因のうち「地積」をとりあげ説明します。

住宅地については、最終的な市場参加者が個人消費者となりますので、多くの場合、住宅取得資金の調達を借入に依存しているため、総額面で一定の制約が生じざるを得ません。従って、地積が大きくなるほど当該総額による制約から取引単価が低くなる、「地積過大」による減価が生ずることが一般的です。このところ不動産事業者が戸建分譲をする場合に画地を小さく分割するのも、この総額が要因であり、一般的要因、特に金利の動向等が地価に影響を与えやすいのも同様で、金利が上昇局面になると資金調達に影響を与え、売り手にとってはそれまでのような価格設定が難しくなり地価には負の要因となります。

商業地の場合、収益性が選択指標であるため、立地に左右されるところが大きいなか、もとよりその適地が少なく、特に好立地の場所で一定規模のまとまった土地が供給されることは極めて稀です。他方で、需要者は資金調達能力を有することが前提で、当該資金がなければそもそも市場参加者にはなれず、マーケットは供給市場になることが通常です。

従って、地積が大きくなれば取引単価が低くなるといった住宅地のような傾向はみられず、むしろ、好立地の場所であれば、その稀少性から複数の需要が競合し、総額、単価とも高くなることが一般的です。つまり「地積過大」による減価はほぼ生じないわけです。

特に、相対的に商圏の広い普通商業地域以上の商業地域や、もとより相当規模の敷地を要する郊外路線商業地域の場合、その傾向はさらに強く、土地価格比準表7次改訂において、普通商業地域以上の商業地域に「面大増価」の項目が設けられているのは、こうした事情を背景にしたものだと考えられます。

逆に、背後地が狭く、商圏が評価対象地付近に限られる近隣商業地域の場合は、事業用地としての需要が競合する度合いは低いため、少なくとも「面大増価」はなく、沿道でも住宅需要が考えられることから「地積過大」による減価が認められることもあります。

工業地については、同様に事業用地としての性格から、その傾向は商業地に準じ、特に自用ではなく、投資対象にもなるロジスティクス等の用地の場合、土地価格比準表7次改訂には項目がありませんが、取引実態としては「面大増価」が顕著にみられることが通常です。

公共事業における用地の立ち位置

入社した30程前、諸先輩方から「物件調査はものが無くなる仕事、地図に残らない仕事」と聞いて、どこか空しい気持ちがあったことを覚えています。確かに物件調査だけを見ればその通りで、いつの間にか家が無くなり、いつの間にか道路ができていることはしばしばです。しかし、ここ数年CM業務(建設プロジェクトにおけるコンストラクションマネジメント)に携わったことにより公共事業における用地取得の立ち位置を改めて実感することができました。

私はその業務の中で用地取得に係わる内容(用地補償に関する地元説明会~用地測量~物件調査・土地評価~用地交渉~土地等売買契約~土地の引き渡し)を担当していました。業務上、一緒に机を並べた担当者は用地取得の前段階に当たる調査設計に係わる専門技術者、後段階に当たる工事発注・施工に関する専門技術者が常駐しており、円滑な事業の遂行を目的に、お互いの知識や意見を出し合い業務を進めていました。

事業用地の範囲は設計の段階でほぼ確定します。

ある都市計画道路で既に線形が確定していた設計において、墓地の僅か数㎡の土地が事業用地に含まれていることが判明しました。これを受け、用地サイドとして地元有力者への聞き取りや公的資料を調査した結果、所有者に関する情報が乏しく、土地の取得には相当の時間を要することが予見されました。また、地元設計協議において「ご先祖様が眠るところは是非とも外してほしい。」との強い要望もありました。よってこの墓地は事業用地に含めないように部分的に盛土構造から擁壁構造へ見直す検討を行い地元の意見を反映することができました。この件については後日開催した地元補償説明会では安堵の声が聞かれました。

また、逆に工場の建物に直接支障しないように擁壁構造とした設計の部分がありました。

側道もなく建物のすぐ近くに10m近い擁壁が造られる計画で問題がないかとの箇所がありました。用地サイドとしては盛土構造にすれば当然買収面積が増え、当該施設に与える影響は多大となることはもちろんのこと、移転補償費が大幅に増えることも明らかです。そこで擁壁構造と盛土構造のそれぞれについて当該施設の補償範囲・補償方法を検討した案を所有者へ説明しました。盛土案では多くの課題(生産ラインへの影響、休業期間、移転先の確保等)が挙げられたものの補償理論上クリアできる課題であったことから、盛土構造の計画に協力を頂くことができました。

このように用地目線で意見を出し、設計の検討材料になったことは満更でもない気持ちです。

工事着手の準備段階では、用地の引き渡し時期が重要となります。

用地交渉に着手する頃には工区ごとに工事工程が詰められていることが多く、さらに「この工区は仮置土のスペースに使用する部分があるため特に早く引き渡しの完了を」と要望があります。ただ、この時点では所有者の都合もあるため明確な回答ができないため、移転期限については用地交渉の場において無理のない期間を確保して頂き、同意を得た期限を施工担当者へ報告します。

また、舗装や地下埋設物等の物件について移転義務を課さない物件があった場合は、その事情を工事発注前までに施工担当者と共有します。

このように用地取得の進捗や残存物件について、情報共有を密にすることにより事業に支障が出ないよう気を付けました。

CM業務で携わった道路の供用開始はまだまだ先ですが、インターネットの航空写真を見ると工事が進んでいるようで達成感が湧いてきます。

営業補償について

営業補償は、公共事業等に伴う土地等の取得または使用によって生じる営業上の損失を補償するものであり、「営業休止補償」「営業廃止補償」「営業規模縮小の補償」の三つに大別される。このうち「営業休止補償」は、土地等の取得や使用により、通常の営業を一時的に休止せざるを得ないと認められる場合に、休止期間中に生じる損失を補償するもので、営業補償の中で最も一般的であり、実務において適用される場面が多い。

「営業休止補償」には五つの補償項目がある。

第一に「固定的経費の補償」は、売上高の増減に関係なく継続的に発生する経費を対象とするものであり、営業を休止しても支払いが必要となる保険料や賃借料などが該当する。通常、これらの経費は営業を継続していれば売上によって賄われるが、営業休止期間中は売上が見込めないため、補償の対象とされる。

第二の「休業(人件費)の補償」は、営業休止期間中に事業者が負担する従業員の休業手当相当額を補償するものである。算定にあたっては、事業者から借用した賃金台帳等を基に平均賃金を算出し、その一定割合を補償額の標準とする。

第三の「収益減の補償」は、移転に伴い営業を休止している期間に、本来得られたと考えられる収益相当額を補償するものであるが、赤字経営の場合には、補償対象とはならない。

第四の「得意先喪失の補償」は、営業所の休止や移転によって、営業再開後に一時的な売上低下が生じると見込まれる場合に、その回復までの間の売上減少に対応する限界利益を補償するものである。特に立地条件の変化が売上に直結しやすい飲食店や小売業では、慎重な検討が必要となる。

第五の「移転広告費」は、移転広告費用、開店費用、その他の費用(引っ越しあいさつ)、雑費で構成されている。

これら説明した補償項目は営業休止補償の基本構造を示すものであるが、実務においては、事業内容の特性や営業規模を十分に把握したうえで、営業資料の分析や休止期間の妥当性について慎重に検討する必要がある。また、営業資料の分析にあたっては、企業会計や簿記に関する基礎的かつ実務的な知識も求められ、数字の背景や経営実態を的確に読み取る能力が重要となる。今後も公益性の高い業務に従事する者として、自らの専門知識や実務能力の向上に継続して努め、クオリティーの高い成果品を納めることができるよう尽力していきたい。

ディスレクシア

ディスレクシアをご存じでしょうか?ディスレクシアはラテン語で『dyslexia』 と書き、『dys-』 は「不良」「困難」、『lexis』はギリシャ語で「話すこと」、『-ia』は病気の症状を表す名詞を作る語です。直訳すると「話すことが困難な病気」となりますが、「読むことが困難な障害」である「読字障害」という意味です。ディスレクシアがどれぐらいの割合で存在しているか、はっきりとした数字はありませんが最低でも40人に1人が持っていると考えられています。小中高校のクラスに1人以上はディスレクシアという計算になります。

ディスレクシアは、限局性学習障害という発達障害の一種となります。ディスレクシアを持っていると読み書きや計算することが極端に難しくなるため、学業不振の原因となります。読み書きや計算以外については障害を有しない人と変わらないため、障害の認識が遅れがちとなります。なお、似たような症状に「失読症」がありますが、失読症は脳梗塞などによる脳の損傷で生じるものであるため、ディスレクシアとは区別されます。

ディスレクシアを有する人が文字を読みづらいと感じる要因はいくつかあります。このミニコミは「MS明朝」で書かれていますが、ディスレクシアを有する人にとって明朝体は横線が細く認識しづらかったり、視覚過敏を有する人の場合はとがった見た目のうろこやハネが刺激となったりするようなフォントとなります。「3」と「8」、「O」と「C」と「し」などの形が似ている文字の区別がつかなかったり、「6」と「9」という点対称にデザインされた文字を区別できず認識してしまったりすることもあるようです。

これらを軽減させることを目的として開発されたフォントにUDフォントがあります。UDはユニバーサルデザインの略で、すべての人が読みやすいフォントとして開発されたフォントになります。UDフォントは、明朝体なら横線が太くデザインされていたり、形が似ている「3」と「8」の区別をつけやすいとようにされていたりと、ディスレクシアを有していたとしても読みやすくなるように工夫されています。

ここまでお読みいただき補償の話とは離れているように感じるかもしれませんが、私は、積算ソフトや調書にもUDフォントの採用を勧めるべく筆を進めています。読字障害を持っていなければUDフォントを採用するメリットを感じにくいかもしれません。そこで、読字障害に関係なく感じられるメリットを2点お話しします。

まずは、コピーを取る際に文字が潰れづらいことです。コピーを取ると文字が読みづらくなることはよく知られていることですが、UDフォントは文字の区別がつきやすいようにデザインされているのでこのようなことが起こりづらくなります。

2点目は、UDフォントを使用することで、文字の誤読率が減るということです。補償調査では調書作成時に数字を拾うことが多いので、文字の誤読率が減ることは入力時の誤入力回避やチェック時の間違い発見に貢献できます。UDフォントを作成している株式会社モリサワによると、UDフォントの活用により40歳代以上では誤読を回避する他、読み速度も向上したそうです。読み速度の向上は労働時間の削減に直結するので、UDフォントの活用が労働環境改善にも貢献できることが期待できます。

令和6年4月から障害者差別解消法が施行され、事業者が障害のある人から合理的配慮の実施を求められた場合には、負担が過重でない範囲で配慮を提供する義務があります。その中で、UDフォントの活用は、少ない負担で先手を打って配慮ができるところです。補償業界でも活用されることを期待しています。

 

 

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