鑑定
使用借権の評価(平成17年8月)
使用借権の評価(平成17年8月)
使用借権は、その性質上、貸主・借主双方の間でのみ成立するもので、使用料のような対価を伴わない事から譲渡性がなく、その市場価格はゼロとする事が妥当である。
しかしながら、公共事業により、継続中の使用貸借が当事者の意思とは関係なく消滅させられる場合には、使用借人が将来一定の期間に渡り使用収益する事が出来たはずの利益を逸失させる事になり、相応の補償が必要となる。
公共用地の取得に伴う損失補償基準では、これを踏まえ、使用貸借による権利についても補償する旨明記されているが、当該事案は、この場合の使用貸借による権利の適正な価格を求めるものである。
(なお、公共用地の取得に伴う損失補償基準細則では、使用貸借による権利に対する補償は、賃借権の3分の1程度としているが、不動産の用途、返還の時期等により権利価格は異なるため、当該3分の1程度が適切であるか、そもそも賃借権の価格が如何ほどであるかについては、個別に検討する必要がある。)