業務実績

補償

【収用損失】茶業

概要

道路改良工事に伴い、畑(茶畑)が支障するものであるが、ここで生産される茶葉は茶園所有者が経営する製茶の製造販売業者へすべて供給されている。即ち、茶葉の供給から製茶販売までを営む業者の一部施設を支障したことと同じ。

本人から茶園の買収に伴って製茶への著しい影響・損失があるとの申し出があり、そのため対象製茶業に対する損失の把握と分析、補償の可否等の検討を行うとともに、補償方法及び補償額の試算を行ったものである。

茶畑と茶工場は規模と能力に関し均衡を保っているもので、茶畑の減少は工場の施設に能力的な余剰及び施設の遊休化が発生することになる。また、同じ茶畑から同じ割合で茶葉を供給することによって均質な安定した味覚を維持し市場から受け入れられてきた品質なため、他から新たな茶葉を供給することは嗜好品である茶に影響があるとの申し入れがあった。

そのため、対象茶農家の

  • 茶畑の規模及び特性把握
  • 製茶工場施設の概要
  • 茶業(農を含む)の経営実態把握

に基づき、補償方法等(農業補償の検討、営業規模縮小の有無、施設遊休化の有無)の検討を行った。

補償の課題

対象の調査に当たり、以下内容を課題として設定した。

  1. 茶畑の買収に伴う製茶工場への影響把握
  2. 対象製茶業の経営実態、対象茶畑及び関連他茶畑
  3. 対象製茶業の生葉仕入先茶畑及び仕入量
  4. 対象製茶業の製茶実績
  5. 対象製茶業の損失把握、分析
  6. 事業と損失の因果関係の検討
  7. 補償必要性の検討
  8. 補償基準との整合性

調査のフロー

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対象製茶業の工程

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各茶園から集荷した生葉は、その日のうちに荒茶まで加工する必要があるため、生葉の生産と荒茶製造の能力は整合している必要がある。

著しい生葉の減少に対しては施設が過大となり施設遊休化が発生することになる。

損失の検証

損失の発生

当該事業による茶園の買収によって、製茶工場へ供給する茶の生葉が不足することにより、生産量減に伴う収益減及び生産量減より過大能力となる施設の遊休化が発生し、茶工場経営に影響をおよぼすことになる。

 

損失の回避方法

茶園の減少による生葉の供給不足が原因で茶工場経営に影響をおよぼすことからすれば、製茶工場へ供給不足となった量の生葉を他の茶園から加工すべき生葉を購入することができれば損失を回避することができる。

 

他の茶園からの供給

売却した畑及び茶樹の補償費によって、茶園を購入することで生葉を供給することが可能である。ただし、対象の地域は茶の生産が地域の特産物にまで成熟した地域でないため、茶樹が植栽された茶園を購入することは不可能である。そのため、他の茶園から生葉を得るためには畑を購入し、茶樹の苗を植え、茶の生産によって純収益が得られるようになるまでの育成期間の5年を待って生葉を供給することができる。従って、他の茶園から生葉を供給するためには、茶樹の苗木を植えて幼木から約5年間は生産量減による施設の遊休化は避けることが困難である。

 

生葉を生葉生産農家から購入

対象の地域は茶の生産地として成熟した地域ではないため、近隣や隣接する地域で生葉の生産を行っている農家は少なく、また生葉の生産農家があったとしても、これまでに形成されている自園自製農家や買葉業者との販売供給ルートを破壊しないかぎりは、ただちには生葉を購入することは困難である。すなわち、この地域においては生葉の販売市場は存在していない。従って、生葉を他農家から購入することは不可能と考える。

補償の必要性の検討

茶園の買収に伴う製茶工場への影響については、その因果関係は明らかであり、またその損失を回避することもできない。

そのため、損失が社会生活上受忍すべき範囲を超え「著しい損失」ということであれば、補償の必要性があると判断する。

 

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受益茶園の減少により、生葉加工量が減り茶工場経営状況は悪化する。

 

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