トピックス

ミニコミ 2023.02.16

第137号(2023年冬号)『新日用地サポートデスクの立上げ』ほか

新日用地サポートデスクの立上げ

昨年11月発行のミニコミでは補償実務例集の作成を目指していることを紹介しました。今回のミニコミではその実務例集の作成に引き続いて「新日用地サポートデスク」(仮称)なる組織の立上げ計画を紹介します。

このサポートデスク立上げの目的は、①これまで弊社で経験してきた用地関連業務の課題問題点を集め、実務例集として蓄積する。②この実務例集等を活用提供し、市町村等自治体が抱える用地問題等に対する相談窓口として機能させる。③用地補償等に関する研修会を提供する。この3つの役割を目指そうとするものです。

近年、市町村の用地を担当する職員数の割合は、70%の自治体で用地職員がゼロ、12%が1~2人で用地業務を担っているとのことです。また、この10~15年の間に20%以上の職員減少となった自治体も存在しているそうです。しかもこれら職員の高齢化も急速に進み、自治体によっては50歳台が70%を占めている自治体も存在します。業務内容については年々増加する災害問題、空き家問題、所有者不明土地問題等、多岐にわたる課題の解決が急務となり、本来の用地業務に就けないところもあるようです。

弊社でも職員の高齢化は大きな課題となっています。そして社内には発注者の立場及び受注者の立場で用地業務に従事、経験してきた職員、双方とも40年以上の用地経験職員が存在しています。

そのため、これ等職員の豊富な経験と実績を活用・機能させるため市町村等自治体が抱える課題に対し、用地に関する資料、相談、研修の面でお手伝いできる組織(用地サポートデスク)が、お役に立てるのではないかと考えました。

市町村等の自治体の用地関連部署のご担当者様にあっては事例、相談、研修等のご要望があれば遠慮なく声をお掛け下さるようお願いします。新日HPについても、近く実務例集の目次を掲載予定です。用地サポートデスクを活用いただければ幸いです。

墳墓に関する調査

◆「墳墓」とは

「墳墓」とは「墓地として都道府県知事の許可を受けた区域又は、これと同等と認めることが相当な区域内に存する死体を埋葬し又は焼骨を埋蔵する施設」を示します。(改葬の補償及び祭し料調査算定要領 第2条第3項)

よって一般的な共同墓地の個人区画外にある共用施設(管理棟、生垣、障壁等)については「墓地」内の施設になりますが「墳墓」には該当しません。

墳墓の調査は、墓地管理者等の権利関係の調査と、墓石及び墓誌等の「墓碑類」及び柵垣等の「墳墓工作物」「墳墓立竹木」の調査を行います。(「墳墓工作物」「墳墓立竹木」は附帯工作物調査算定要領、立竹木調査算定要領に準じて調査を行う)

 

◆墓地管理者等の調査

墓地管理者等の調査は次に掲げる事項について行います。

(一)墓地管理者の調査…土地の登記記録の調査及び市町村吏員、集落の代表者、寺院の代表役員等から聴取するものとする。

(二)墓地使用者の調査…墓地の区画毎に墓地管理者等から墓地使用者の氏名、住所等について聴取するものとする。

(三)墓地使用者単位の霊名簿(過去帳)の調査…調査については、原則として、墓地管理者が管理する霊名簿(過去帳)により行うものとし、墓地使用者等から確認を受けるものとする。

 

◆「墓地管理者」「墓地使用者」「墳墓所有者」の違い

個人墓地の場合…

通常は墓地管理者=墓地使用者=墳墓所有者となることが一般的です。

共同墓地の場合…

墓地経営主体は、市町村等の地方公共団体が原則であり、これによりがたい事情があっても宗教法人又は公益法人等に限られる(厚生労働省「墓地・管理の指針等について」)ので、原則として、これらのいずれかが墓地管理者となります。

共同墓地における墓地使用者は、通常墓地管理者と使用契約を締結した個人となり、墳墓所有者と同一になります。

 

◆霊名簿(過去帳)調査

墓地の管理者は「墓地、埋葬等に関する法律」第15条において、帳簿を備え付けることが規定され、これらの帳簿は宗教法人によっては霊名簿、過去帳と呼ばれるものになります。帳簿は墓地管理者、墓地使用者双方が保管している場合があります。

霊名簿(過去帳)は墓石のみで埋葬者の特定が困難な場合に、埋葬者数を確認するための参考資料の一つです。

霊名簿(過去帳)の調査項目は法名(戒名)、俗名、性別及び享年、死亡年月日、墓石毎の火葬・土葬の区分(土葬の場合は遺体数、火葬の場合は遺骨数)、墓地使用者単位の霊数、その他必要と認める事項になります。

なお、埋葬者の特定が困難な場合は、不詳として調査表には計上し、霊体数のみを聞き取り等により確認するものとします。

 

◆墳墓内の区分

墳墓の調査は、墓地使用者毎に墓地の配置状況、「墓碑類」の形状、寸法、構造及び種類、「墳墓工作物」「墳墓立竹木」の調査を行います。

一般的な墓の構成の場合、墳墓内の区分は次のようになります。

①墓碑類…石碑、芝石(四ツ組石)、墓誌(霊標)、拝石、物置台、灯籠、カロート

②墳墓工作物…敷板石、門柱、玉垣、延石、割石、付属品、階段

③墳墓立竹木…植木

墳墓は、地域や宗派によりその構成が異なるため、一般的な構成と異なる場合は施設としての構造、用途を考慮の上、個別に判断することになります。

補償業務管理士について

本年度も令和4年10月23日(日)に補償業務管理士の記述試験がありました。12月には結果発表があり、合格者は2月末から3月初旬にかけ口述試験へという流れになります。

私もこの業界に入って40年近く経ちます。補償業務管理士はこの業界で仕事をする上では大切な資格です。主任担当者になるにはこの資格がないとできないこともあります。8科目全てを取得することを目標にしていますが、なかなか勉強も進まずつまずいてばかりです。しかしながら、このような機会がないと自ら進んで勉強することもありません。今まで行ってきた単純な作業であっても基準等を見直すと別の見方も出てくるもので、改めてこのような機会を設けることも必要であると再認識しています。

新型コロナウイルス禍以前は、年度末でバタバタと忙しい2月初旬の時期に東京研修が行われていました。毎日、夜遅くまで仕事を行っている中、1週間研修で抜けるのは気が引ける思いでした。その時期は大学の入試と重なることから、早く手配しないとホテルがなかなか取れないこともありました。しかし仕事中の同僚には悪いのですが、研修後には一緒に受講した者との会食や東京見物ができ良い気分転換になった思い出もあります。

3年前の東京研修では、薬局へ行ってもマスクの調達もままならない状態で、半数の人はマスク無しで研修を受けており、研修中もあちこちで咳き込む人も多く見うけられ、早く名古屋に戻りたいと思っていました。

2年前から研修及び試験の時期が半年ほどずれて東京研修は8月頃になりましたが、まだコロナウイルスの感染は収まりきれず、当社でも直前にコロナウイルスに感染し、研修に参加できない者もいました。

共通試験は特に難しかった記憶があり、何度も挑戦し、やっと合格した実感があります。今は研修会が終わった後も直前まで講習会に参加する機会があり、以前よりは合格率が上がったのではないかと思います。

私の持論ですが、建築系の勉強をしてきた人は、まず二級建築士の資格を取得する。8部門の補償業務管理士のうち、既にいずれかの管理士の資格取得者であれば、二級建築士の資格によって物件及び事業損失部門は申請だけで資格取得が可能です。勉強の方向性は色々ありますが自分の知識を高めることに変わりはありません。

これから受験する入社4、5年の方は仕事との両立でなかなか思うように勉強ができないこともあると思いますが、これから仕事をしていく上で資格を取ることに損はありません。自分自身の技術の向上にも役立つと思います。私もあと何年この仕事に従事することが出来るか分かりませんが、今後も勉強を怠らず新しい知識を吸収していきたいと思っています。

農地に関する用地交渉

私は新しい道路の建設事業に伴うCM業務のため、福島県では2箇所目となる建設事務所に赴任しています。

気候は厳しく夏季は連日の猛暑で、さらに冬季は極寒の日々が続きます。雪が降ると屋根の雪下ろしはしないものの日々の降雪量に驚かされます。

道路は除雪車や融雪装置のおかげで除雪されていますが、それ以外は除雪されません。

雪かきは出勤時、職場到着時、昼休み、退勤時、帰宅時と一日5回することもあり、老体には堪えます。雪国育ちの方に辛抱強い方が多いのはこのような経験があるからでしょうか。

業務は主に用地取得のマネジメントです。

赴任当初は計画段階だったこともあり用地取得の準備をする期間となりました。過年度の測量成果から事業対象地とその権利者を一覧にまとめ、その時点での用地取得リスクを可視化し、道路課と用地課で共有する資料の作成でした。道路の線形上残地は不成形となる土地が殆どで、中には分断される土地もあり残地に関しては当然用地交渉で話題になると予測できます。

その他、権利者の事業に対する意識、相続が未整理の土地、建物敷地への支障状況、稲作のスケジュールを加味した交渉スケジュール等を整理し取得方針を検討していきます。

用地費・補償費といった買収の条件が纏まり、地元設計協議の合意後、補償説明会を開催し個別交渉に入っていきますが、耕作者の方への説明も必要になってきました。

土地所有者から耕作者に用地買収の事情を説明して頂くことが基本ですが大規模な農地のこともあり、農業委員会や農地バンクを通じて所有者と異なる方が耕作をしている、口約束で隣地の耕作者に耕作を頼んでいる、代が替わり耕作者を知らない、田んぼは耕作者に任せっきり等の個別事情が判明しました。

「土地がなくなります」、「買収後の耕作は残地のみになります」程度の説明は所有者からも可能と思われますが、次年度の種籾の予約状況や稲作の予定、現況の用排水路の状況、残地耕作での用排水路の計画や作業車の乗入位置の希望等を詳細に所有者耕作者へ説明することは困難と思われるためです。

実際、個別交渉の中でも殆どの所有者から耕作者への説明を依頼され、補償に関する説明を行う用地補償総合技術業務に同行し計画に関する説明を行っていることが現状です。

昨年、福島県内であった喜ばしいことを一つ紹介します。

平成23年7月に起こった新潟・福島豪雨でJR只見線の鉄橋3箇所が流され、バスによる代行運転となっていた区間がありましたが昨年10月1日に上下分離方式(福島県が土地や鉄道施設を保有、JR東日本が同社の車両を運行)で福島県会津若松駅から新潟県小出駅までの直通運転が再開されました。

この路線は国内屈指の秘境路線としても知られており、今となっては世界的にも紹介される場所になっています。豪雪地帯のため、冬季は部分的に運休することもありますが、四季折々の素晴らしい景色が楽しめます。特に紅葉の時期は色鮮やかな山々と霧に包まれる只見川はとても魅力的です。

入社1年目で感じたこと

新日に入社し補償調査部に配属され、1年が経ちました。今回は新入社員の目線で感じたことなどを記したいと思います。

私の実家は九州で補償コンサルタントの会社を営んでいるため、「補償コンサルタント」という言葉やそのような仕事があることは学生時代からなんとなく知ってはいたものの、具体的にどのようなことをしているのか分かりませんでした。

また、当時の私は親の働いている姿を多少見ていたため、難しいお堅い仕事であると、正直なところネガティブなイメージを持っていました。

学生時代、友人や周りの大人に親の仕事を訊かれる際、「補償コンサルタント」と答えてもあまり理解されていませんでした。「補償コンサルタント」の仕事を私自身がそれほど理解できていなかったのもありますが、世間一般的にあまり知られていない仕事であるため、説明が難しく、面倒になってざっくりと「建築系」と誤魔化していたことを思い出します。

そんな私ですが、ご縁があり新日で補償の仕事をさせていただいており、1年間の業務を通して少しずつではありますが、「補償コンサルタント」の仕事の重要性を理解し、社会にとって必要な仕事だと感じており、今まで抱いていたイメージから変わってきています。

私自身この1年で現場調査へ行く機会が多くあり、図面を描いている先輩社員の横に付き、建物をコンベックスで測りながら長さを読み上げることからスタートし、木造建物の図面を一人で描くことも経験しました。しかし、図面を描くスピードは遅く、内容も先輩方の図面と比べて明らかに汚く読み取りづらいものでした。現場では先輩方はスラスラと描いていくのに対し、私は何度も描き直したり、必要な部分の寸法や名称が抜けていたりと自分自身の無力さを痛感しました。

現場調査は地権者の協力のもと行えていますし、半日ないし一日もの貴重な時間をいただいていることを念頭に置いて調査をしなければならないと思わされました。また、現場での立ち振る舞いや身なりで地権者に与える印象も大きく変わるため、そういったことも意識して調査しなければなりません。また、図面や登記簿など権利者からお借りする資料もありますし、聞き取り調査も行うため、適切なコミュニケーション能力も必要であると改めて感じました。

さらに1年経験して感じたことの一つに、「若い人材に補償業界を知ってほしい」というものがあります。冒頭で記したように「補償コンサルタント」という仕事の認知度がまだ低いということも理由の一つとして挙げられると思います。私は知識も経験もまだ浅いため、そんなに偉そうなことは言えませんが、業界に若い方が少ないのは寂しく思いますし、補償業界全体が今後発展するためにも経験のあるベテラン社員と若い社員の融合が必要だと強く感じるので、これから私自身、先輩方から学び、技術力はもちろんですが、「補償コンサルタント」という仕事についてもっと理解を深め、発信していければと思います。

私はまだ「補償コンサルタント」という仕事のほんの一部を経験したばかりですが、社会や公共事業を支える重要な仕事であることを理解しました。今後は様々な業務を経験し、学び、責任感を持って謙虚な姿勢で業務に取り組みたいと思っています。

曳家工法の経済比較事例

残地内工法の検討により、曳家工法及び構内再築工法が共に合理的な残地内工法であったため、経済的検討を行った結果、構内再築工法が採用された事例について記します。

残地に十分な広さがあり、構内工法が可能な場合、対象建物の構造上等の理由により曳家が不可能でなければ曳家工法が経済的となることが多い。

これは建築費において多くの費用を占める屋根、躯体、基礎の内、基礎を除く部分がそのまま使用でき、1、2階の外壁、内壁及び1階の床など一部工事費の30%を補修工事費として、曳家基本工事及び基礎工事費に加算することとなるためである。

そのような中、構内再築工法が経済的となった2事例を紹介します。

 

◆「事例1」

当該物件は延べ床面積の大きい木造平屋住宅であった。土地の支障面積は小さく、十分な残地があったが、建物の一部が支障することとなった。現在使用されている住宅であり、住宅の主要な機能を担う部分が支障していたことから、除却工法及び改造工法は機能維持の観点より不可能であった。

次に、可能な残地内工法の検討結果として曳家工法及び構内再築工法のどちらも可能であったため、移転工法認定フローに基づき経済的検討を行うこととした。

まず、曳家の算定にあたり当該建物は平屋であったので、延べ床面積が同じ二階建ての一般的な住宅と比べて2倍近い基礎工事費が必要となる。また、再築可能位置と現在位置が近く大部分が重複していたため、人力施工となり、通常の機械施工に比べ費用が嵩むこととなった。基礎費用がより多く嵩む上に、曳家工法において基礎工事は新設100%の費用にて計上する。建築費において多くを占める基礎工事費が一般的な物件より高く計上されたことに加え、築年の古い建物であったため、再築工法の再築補償率もおさえられていた。

結果、構内再築工法が経済的となった。

 

◆「事例2」

当該物件は一般的な2階建て木造住宅であった。土地が大きいため支障面積は一部で十分な残地があるが、建物のほとんどが支障となった。

事例1と同じく現在使用されている住宅のため、除却工法及び改造工法は機能維持の観点より不可能であり、曳家工法及び構内再築工法の経済的検討を行うこととした。

一般的な住宅であったため、通常であれば曳家工法が経済的となるが、当該土地は十分な広さがあったが南側が接道する南北に長く北側から南側へ下る傾斜地であり、敷地内にて平坦な場所は現在の建物位置である北側と道路側の南側にある。北側の平坦地はほとんどが支障範囲となり、現状の平坦範囲では再築は不可能である。

また、敷地北側に再築可能な平坦地を作るためには傾斜地に大規模な盛土造成が必要であり、地盤強度の確保も困難となるため、再築場所は南側とした。

南側までの曳家基本工事費を算定するにあたり、曳家条件によって曳家係数を算出する。曳家係数は「1.0+距離、回転、高低差、基礎重複、方向替、近接施工、傾斜地」の条件により加算されるが、多くは距離補正+回転+方向替で係数値「1.3程度」である。

しかし、当該地の南北高低差が約3mと大きいため、高低差補正が「0.9」と表内上限値であり、高低差補正が有る場合に加算される傾斜地補正も、距離補正「0.1」+高低差補正「0.9」により、「1.0」加算される条件となった。その結果、曳家係数が「3.0」を超える値となり、一般的な曳家基本工事費に比べ2.5倍ほどの費用が計上されることとなり、曳家工事費が嵩むこととなった。

その結果、経済比較により構内再築工法を採用することとなった。

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